March 2, 2007
The Rise And Fall Of Ziggy Stardust and The Spiders from Mars/DAVID BOWIE (デヴィッド・ボウイ)
![]() | Ziggy Stardust David Bowie Virgin Records Us 2003-10-21 |
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『屈折する星屑の上昇と下降、そして火星から来た蜘蛛の群』
Bob Dylan(ボブ・ディラン)の影響を受けた音楽創作活動を行っていたDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)が、パントマイムを始めとする演劇的素養、派手な衣装やメイクで行うパフォーマンスでDavid Bowieより一足先にメジャーな存在となっていたライバル、Marc Bolan & T.REX(マーク・ボラン & T・レックス)のグラム・ロックの要素を取り入れ、自らZiggy Stardust(ジギー・スターダスト)という架空のロック・スターに扮し、火星からやってきたロック・スターと彼が率いるThe Spiders from Mars(スパイダー・フロム・マーズ)の栄光と没落を描いたコンセプト・アルバム『The Rise And Fall Of Ziggy Stardust and The Spiders from Mars(ジギー・スターダスト)』。
1972年に発表された本作は斬新なアイディアと共に完成度の高い優れた内容によって話題を呼び、それに伴うツアーでも大幅に演劇的要素を取り入れて無性的なZiggy Stardustを演じ切ったDavid Bowieは一躍Marc Bolanと並ぶグラム・ロックの代表するロック・スターに上り詰め、本作も後のアーティストに多大な影響を与えることとなる1970年代を代表するアルバムとなりました。
1. Five Years
2. Soul Love
3. Moonage Daydream
4. Starman
5. It Ain't Easy
6. Lady Stardust
7. Star
8. Hang On To Yourself
9. Ziggy Stardust
10. Suffragette City
11. Rock & Roll Suicide
Ziggy Stardust & the Spiders from Mars :
David Bowie :vo.デヴィッド・ボウイ
Mick Ronson :g.ミック・ロンソン
Trevor Bolder :b.トレヴァー・ボルダー
Mick Woodmansey :dr.ミック・ウッドマンジー
不朽の名盤『The Rise And Fall Of Ziggy Stardust and The Spiders from Mars(ジギー・スターダスト)』の発表により、グラム・ロック・ブームの中でMarc Bolan(マーク・ボラン)と並ぶ2大スターの地位を手に入れたとは言え、実際にはヒット・シングル連発のシングル・アーティストMarc Bolanと比較するとDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)は本作からのシングル・カット"Starman"が全英5位を記録する程度で、Marc Bolanの活躍が余りにも派手だったとは言え、シングル・チャート・アクション的には地味。Marc Bolanがポピュラーな人気を誇ったのとは対照的にDavid Bowieは作品の質の高さからアーティスティックなカルト的人気の高いアルバム・アーティストと言えます。
また、大きな成功を収めて栄華を極めながらグラム・ロック・ブームの終焉と共に儚く散った、あえて言ってしまうと単なるグラム・ロッカーに過ぎなかったMarc Bolanに対して、当時流行しつつあったグラム・ロックという要素を自己表現の方法のひとつとして取り入れて見事に消化したDavid Bowieのアーティストとしての創造性の部分で根本的に大きな差があり、ブーム後の両者の対応の仕方を見てもそれは明らかです。(決してMarc Bolanが劣っていたと言っているわけではなく、ポップ・スターとして派手に一時代を築いて太く短く生きたMarc Bolanはグラム・ロックしかなかったからこそロック・ミュージックの歴史に残る偉大なアーティストの一人であったと思います。)
David Bowie(デヴィッド・ボウイ)は『Ziggy Stardust』発表後もZiggy Stardust(ジギー・スターダスト)というキャラクターを演じ続け、次作『Aladdin Sane(アラジン・セイン)』(1973年)では更にハードに、そして耽美でグラマラスなサウンドに発展させて人気を確実なものとします。しかし、グラム・ロック・ブームに陰りが見えるとあっさりとZiggy Stardustというキャラクターを捨ててオーソン・ウェルズの小説『1984』を題材にした『Diamond Dogs(ダイヤモンド・ドッグス)』(1974年・半人半獣のDiamond Dogsというキャラクターを演じる)を最後にグラム・ロックと決別してアメリカに渡り、ソウル、ファンクを取り入れた『Young Americans(ヤング・アメリカンズ)』(1975年)を発表。John Lennon(ジョン・レノン)作の"Fame"で全米1位を獲得してグラム・ロックには全く関心を見せなかったアメリカのミュージック・シーンでの成功を収めます。引き続きDavid Bowie自身が「プラスチック・ソウル」と呼んだファンク路線で発表した『Station to Station(ステイション・トゥ・ステイション)』(1976年)では全米3位、そして全英でも5位を獲得するというグラム・ロック期以上のビッグ・スターの地位を獲得します。
しかし、ここまでの流れだと流行に敏感で計算も出来、そしてそれを実現できるだけのアーティストとしての才能と創造力を持った優れたミュージシャンが才能に見合うだけの成功を収めたという話なのですが、ここからがDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)の面白いところ。スターというポジションに嫌気が差したのか、アーティストとして求める方向が変化してしまったのか、それともファンク路線でやるべき事をやり尽くしたと考えたのか、突如としてベルリンに渡り、奇才Brian Eno(ブライアン・イーノ/ROXY MUSIC/ロキシー・ミュージック)をパートナーにRobert Fripp(ロバート・フィリップ/KING CRIMSON/キング・クリムゾン)などのミュージシャンをゲストに迎えてアーティスティックなアルバム群の製作を始めます。(所謂「ベルリン3部作」 - 『Low(ロウ)』『Heroes(ヒーローズ)』『RODGER(ロジャー)』)この時期のDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)は目立ったヒットシングルもなく一般的な認知度も低く低迷期と思われがちですが、David Bowieの創作活動において最も充実した時期であるとする人も多く、特にベルリンの壁を題材にした『Heroes(ヒーローズ)』(1977年)は『Ziggy Stardust』と並ぶDavid Bowieの傑作アルバムの1つとなっています。
しかし、アーティスティック路線でDavid Bowieの音楽を確立して、セールス的には恵まれないものの充実した音楽活動を行っていたのにも拘らず、ここでも再びDavid Bowieは新たな方向転換を行い、次に発表したのがポップな要素を多分に含み、ニューウェーブを視野に置いた『Scary Monsters(スケアリー・モンスターズ)』(1980年)。そして、1983年に発表したのがその後のDavid Bowieのイメージを決定付けた当時のヒット・メイカー、Nile Rodgers(ナイル・ロジャース)をプロデューサーに起用した売れ線サウンドの大ヒットアルバム『Let's Dance(レッツ・ダンス)』です。ここで突如としてこうした路線変更がどういった理由で行われたのかは分かりませんが、『Let's Dance』ブーム後、既存の楽曲を捨て去り1989年に結成したロック・バンド、TIN MACHINE(ティン・マシーン
)の失敗など、あれだけ時代への対応力のあったDavid Bowieが迷走を始めてしまいます。常に上手く時代の流れを呼んで時代の先端を行き、しかもその都度、質の高い作品を作り上げてしまうことが出来る才能を持ってしまったDavid Bowieが、『Let's Dance』に関しては売れてしまった後で自身の本質とはかけ離れた作品であったことに気付いた心理的な迷いによる『Let's Dance』後の迷走ではないかとも思えますし、そういう意味では、もしかすると嘗てのグラム・ロック時代、アメリカに渡ってのファンク時代、ベルリン3部作などのDavid Bowieの全キャリアにおける度重なる路線変更も、ただ単に売れることを考えていただけではなく、David Bowie自身の実体が無いが故の自分自身を模索する作業ではなかったのかとも思えます。
![]() | Stage David Bowie Virgin 2005-03-15 |
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代表作『Ziggy Stardust(ジギー・スターダスト)』収録曲を始めとするグラム・ロック期のヒット曲の数々、Brian Eno(ブライアン・イーノ)との問題作『Low(ロウ)』、そして『Ziggy Stardust』と並んでDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)の最高傑作に挙げる人の多い『Heroe(ヒーローズ)』収録曲など、1970年代のDavid Bowieの活動を統括したようなベスト選曲の1978年発表のライヴ・アルバム。(1977年、"Heroe"ツアーを収録)
Carlos Alomar(G.カルロス・アロマー)、Adrian Bewley(G.エイドリアン・ブリュー)、Roger Powell(Key.ロジャーパウエル)等が参加したバンドの演奏も良く、スタジオ盤ほどの緊張感、シリアスさは感じられませんが、間違いなくDavid Bowieのキャリアにおける最高のパフォーマンスを収めた傑作ライブ・アルバムです。
![]() | Let's Dance David Bowie Virgin Records Us 2003-10-21 |
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ブロードウェイ版『エレファントマン』への出演、大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス
』(1983年)への主演など、音楽活動から意識的に遠ざかっていたDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)がNile Rodgers(ナイル・ロジャース/CHIC/シック)を共同プロデュースに迎えて製作したポップなダンス・チェーン満載の大ヒット・アルバム『Let's Dance(レッツ・ダンス)』。
David Bowieのセクシーでダンディズム溢れる歌声と時代の寵児Nile Rodgersの作り上げたタイトなリズムは、グラム・ロック~ファンク期~ベルリン3部作(『Low(ロウ)』、『Heroe(ヒーローズ)』、『RODGER(ロジャー)』)に続くDavid Bowieの新たな方向性を決定付けるかに見えましたが、コマーシャリズムに侵された『Let's Dance』路線は大ヒットしたが故にDavid Bowie自身の創作への意欲を奪う結果となった上、それまでも音楽的な変わり身の早かったDavid Bowieではありますが、常に時代の先端を行く創作活動を行っていた事を考えると『Let's Dance』は既に流行していた音楽をDavid Bowieがボウイ風に解釈、消化したサウンド。流行音楽への後追い感も強く、グラム・ロック・ブーム終焉後もDavid Bowieを支持し続けてきたファンに違和感を持たれる事にもなり、幾つもの収録曲をヒット・チャートに送り込んで新たなファン層を広げる大成功したアルバムとなってDavid Bowieをカルト的なスターという存在からメジャーな存在に押し上げた作品とはいえ、『Let's Dance』路線後の活動状況の停滞を考えるとDavid Bowieの音楽キャリアにおいては結果的に大きなマイナスともいえる転換期となったアルバムです。
このアルバムでDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)を聴き始めた人も多いであろうDavid Bowieを本当の意味でのメジャーにした作品であり、アルバムの出来もNile Rodgers(ナイル・ロジャース)とDavid Bowie自身が"David Bowieというキャラクター"を上手く生かした本当に良く出来た高品質のアルバムですが、個人的には(多くの古くからのファンと同様に)David Bowieが「地球に落ちてきた」的な印象を非常に強く受けてしまったアルバムでもあります。
それまでのDavid Bowieは、妖しさと怪しさ、そしてクレバーさが同居したDavid Bowieにしか表現できない、ちょっと胡散臭いんだけど、独特の音楽世界を創り上げてきたのではなかったかと思いますが、この作品『Let's Dance』はDavid Bowieじゃなくても、例えば実はこの手のものならBryan Ferry(ブライアン・フェリー/ROXY MUSIC/ロキシー・ミュージック)が歌っていても売れていたんじゃないか、などと不埒なことを考えさせられるところがあって、そういう意味ではプロフェッショナルなソング・ライター・チームが様々なミュージシャンやバンドに優れた楽曲を提供してヒット曲を連発した80年代以降の商業主義的なロックと同質の香りもあり、カリスマ的な魅力を持った孤高の存在だったDavid Bowieを売れることと引き替えに俗っぽい存在へと貶めてしまった作品だったと言えるかも知れません。
![]() | The Best of Bowie David Bowie Emi 2002-11-04 |
[試聴] The Best of Bowie
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David Bowie(デヴィッド・ボウイ)のグラム・ロック期、ソウル・ファンク期、ベルリン3部作、ダンス・ポップ期の全キャリアの中から代表曲ばかりを集めたベスト・アルバム。
David Bowie入門編としては最適な内容ではありますが、しかしDavid Bowieの音楽性の変化が大きい為、個人的にはDavid Bowieのファンがヒット曲の数々を気軽に聴くためのアルバムではないかと思います。David Bowie初心者の方はグラム・ロック期『Ziggy Stardust(ジギー・スターダスト)』、ソウル&ファンク期『Young Americans(ヤング・アメリカンズ)』、アート・ロック期『Heroe(ヒーローズ)』、1980年代のダンス・ミュージック期『Let's Dance(レッツ・ダンス)』辺りのアルバムから好みに合わせて入るのがお勧めです。
- by axis_009
- at 15:30
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comments
デヴィッド・ボウイは永遠のアイドルです。いつの時代も全面的に支持しています。^^
でも、グラム・ロック時代はボウイのカリスマ性が高いし、僕がボウイを聴き始める切っ掛けになった時期でもあるので、特に思い入れが深いです。ただ、この時期はボウイだけでなく、当時の相棒だったミック・ロンソンの功績も大きいと思います。
デビッド・ボウイはレッツ・ダンスから聞き始めたので、あの当時のイメージが強いんです。グラム・ロック時代のこのジギー・スターダストなども聴いてみたいと思いながら今に到ってます。(同じグラム・ロックのT-REXは好きなんだけど、ボウイのほうはマニアックなイメージがあって、とっつき難かったんです)
でも、これだけの名盤ならば今更ですが聞いてみないといけないなぁ。
『Let's Dance(レッツ・ダンス)』については、このアルバムでデヴィッド・ボウイを聴き始めた人も多いであろうDavid Bowieを本当の意味でのメジャーにした作品であり・・・・・・・・・・などと、あれこれコメント欄に書いていたら、かなりの長文になってしまったので、結局記事の内容に追加してしまいました。^^;
TBさせて戴き失礼しました。LET'S DANCE はリアルタイムでしたが、正に賛否両論といった感じでした。 当時洋楽を聴き初めだったので、私自身判断付きかねていたのですが、今となっては、あれ以降確実に“屈折する星屑”は上昇で無く、下降していきました。 そんな全盛期以降、私の思い出に残るボウイの曲はティン・マシーン時代の「ジャンプ」です。それまで彼が語ることなく封印していた、自殺したボウイの兄を歌った曲です。 水中バンドのブログで掲載した「アラディン・セイン」、そして「ヒーローズ」に並ぶマイベストソングです。