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2010年05月05日

Tales from Topographic Oceans/YES (イエス)

B00007LTIATales from Topographic Oceans
Yes
Rhino/Elektra 2003-08-25

 ロック史上に輝く奇跡のアルバム『Close to the Edge(危機)』(1972年)でバンドとしてひとつの大きな到達点に達したYES(イエス)が、それまでの活動を総括したかのようなライブ・アルバム『Yessongs』(1973年)を経て、新たなYesの音世界の構築を目指して制作した通算7作目のアルバム『Tales from Topographic Oceans(海洋地形学の物語)』(1973年発表)。
 ヒンドゥー教の経典「あるヨギの自叙伝」からインスピレーションを得たJon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)がSteve Howe(G.スティーブ・ハウ)と共にバンドを牽引しながら創り上げた本作は『Close to the Edge』から更に大作主義を推し進めたLP2枚組、各面1曲全4曲という超大作。YESのテクニカルな演奏、重厚なアレンジ、ポップ感溢れるメロディーラインなど、イエスの音楽の美味しい部分が合計約80分間の中に満載された至福のアルバムです。


1. The Revealing Science Of God/Dance Of The Dawn
2. The Remembering/High The Memory
3. The Ancient/Giants Under The Sun
4. Ritual/Nous Sommes Du Soleil

Jon Anderson - Vo.ジョン・アンダーソン
Chris Squire - B.クリス・スクワイア
Steve Howe - G.スティーブ・ハウ
Rick Wakeman - Key.リック・ウェイクマン
Alan White - Dr.アラン・ホワイト

 それまでの経験で得たノウハウとアイディア、そして豊富なメロディのストックでYES(イエス)の集大成的作品と創り上げようとしたJon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)とSteve Howe(G.スティーブ・ハウ)の野心作。
 個人的には(一番では無いにしても)結構気に入っている本作ですが、正直に言うとお勉強が必要なアルバムです。まず、一般的に代表作と言われる『Close to the Edge』を気に入った人がすぐ次に聴くアルバムではありませんし、ましてや初めてYES(イエス)やプログレッシブ・ロックを聴く人が購入すべきアルバムでもありません。『Close to the Edge(危機)』(1972年)や『The Yes Album(サード・アルバム)』(1971年)、『Fragile(こわれもの)』(1972年)を聴きつくした後に購入して、尚且つ、ある程度聴き込んで始めてその魅力が体に染み込んでくるアルバムです。
(ちょっと大袈裟ですね。しかし、『Close to the Edge - 危機/1972年』と『Relayer - リレイヤー/1974年』に挟まれているのはアルバムの印象や評価的にキツイところ。)

 全体的な印象としては、『Close to the Edge』に較べるとその制作のコンセプトの違いから、『Close to the Edge』での緊張感のある演奏とは一転した、ゆったりとしたスケール感のある演奏を繰り広げています。その為『Close to the Edge』に慣れた耳では、悪く言えば冗長、緩い演奏とも言え、この辺が賛否両論、失敗作などといわれる所以でもありますが、その反面、Yesの良い部分も悪い部分も含めた集大成的な内容でもあり、否定的な意見が多い中で好きなアルバムのひとつにあげる人も意外に多いアルバムでもあります。
 各曲の印象としては、1曲目の"The Revealing Science Of God/Dance Of The Dawn"、4曲目の"Ritual/Nous Sommes Du Soleil"は楽曲、構成ともに割と良く出来ているのですが、2曲目"The Remembering/High The Memory"と3曲目の"The Ancient/Giants Under The Sun"に関して言えば、素材も良く、楽曲パーツも優れたものが多く収められているものの、冗長とも感じられる部分も多々あり、10分程度に凝縮して、アルバム全体をトータル60分ぐらいにまとめておけばアルバム全体の印象もかなり違ったものになったと思われ、アルバム2枚組、各面1曲合計4曲ということにバンド(というかJon Anderson/Vo.ジョン・アンダーソンとSteve Howe/G.スティーブ・ハウ)が拘り過ぎた弊害であり、非常に惜しい部分ではあります。まぁ、2曲目"The Remembering/High The Memory"、3曲目"The Ancient/Giants Under The Sun"に関してはYES上級者(?)向け、という事にしておきましょう。

 一般的な評価は低いものの、個人的には冒頭にも書いたように結構好きなアルバム。YESを聴きたくなった時にその時の気分で選ぶ選択肢の中によく入ってくる、(決して一番好きなアルバムにはならないものの)BGMに良し、ヒーリング・ミュージック的な聴き方も良し、聴き込めば充実した高度な演奏で楽しめる、楽曲も悪くない、という便利なアルバムです。例えば(例えは悪いのですが)寝る前に『Close to the Edge』を聴き始めると聴き込んでしまって目が冴えてしまうのですが、『Tales from Topographic Oceans』の方は気持ち良く寝させてくれるという(しかし"Ritual/Nous Sommes Du Soleil"のAlan White/Dr.アラン・ホワイトのドラム・ソロで目が覚めてしまうことも。楽曲のアクセントにはなっているものの、良い出来とも思えず、この曲ではこの部分が余分。)、YESのアルバムの中では特に気軽に聴けるアルバムです。

 Jon AndersonとSteve Howe主導の楽曲制作、難解な世界観と極端な大作主義に嫌気が差したRick Wakeman(Key.リック・ウェイクマン)が本作を最後に脱退してしまいますが、本作制作中も、(最低限のやるべきことはやっていますが)本来キーボードが埋めるべきパートをギターが代用しているようなところもあり、Rick Wakemanのヤル気の無さが垣間見られ(ソロ・アルバム用に美味しいフレーズを出し惜しみしていた、という説もあり)、『Close to the Edge』に較べると、かなり影の薄い存在になっています。Bill Bruford(Dr.ビル・ブラッフォード)の脱退、Rick Wakemanの消極的なアルバム制作への参加などにより、鬩ぎあう楽器が減ったことにより緊張感がなくなった事が(反面Steve Howeは伸び伸びとギターを弾きまくっていて、なかなか好印象)、聴きやすいアルバムに仕上がった要因のひとつではないかとも思います。(しかし、そこが聴く人の好みによっては本作の評価が低い原因にもなります。)


B00007LTI9Close to the Edge
Yes
WEA Japan 2003-08-25

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comments

>>Rick Wakemanのヤル気の無さが垣間見られ
このぐらいの方がバンドの音としてはバランスが良いと思います。
ポイントは抑えてるし。(笑)

このアルバムは僕の周りでもイエスを良く聞いてる方に評価が高いアルバムという印象があります。僕はちょっとアレですが。(苦笑)

「危機」が凄すぎて、その次なので当時の評価はかなりきつかったみたいですね。

  • Bert
  • 2010年05月05日 15:45

>Bertさん

>>このアルバムは僕の周りでもイエスを良く聞いてる方に評価が高い
なるほど、そうかもしれませんね。私自身も月日が経つにつれてマイ・イエス・アルバム・ランキング(?)で徐々にランクが上がっていったアルバムです。(といってもベスト5止まりですけど。)
 実は最初に聴いた時は『Close to the Edge』の"And You And I"みたいな曲が倍の長さに引き伸ばされて4回入ってるアルバム(3曲目はちょっと変わったことをやろうとしてる)的な印象でした。(笑)
でも、聴き込むうちに味が出るアルバムですよ。^^♪

  • axis_009@管理人
  • 2010年05月05日 21:39

こんにちは。ブログ再開されたんですね。
何年ぶり?

イエスですかぁ。あんまり聞いてないなぁ。・・・だったらコメントするなってwww
とりあえず再開記念コメントです。

  • Kyo
  • 2010年05月07日 10:53

>Kyoさん
 再開記念コメントありがとうございます。^^♪
他のブログは1年ぐらい前までちょこちょこと更新してたんですが、このブログは約2年ぶりですね。
まぁ、また何時停滞するか分かりませんが。(笑)
 とりあえず、現在YESがマイブームになってるので、暫くYESシリーズは続けます。(予定)
*実は3年ぐらい前にYESの最新リマスター盤というものにCDを買い換え直してたんですが、それを最近になって聴き始めたんです。デジパック仕様(というのかな?)という普通の紙ジャケと違ってCD棚で収納に困らない通常のCDケースサイズと同じ大きさで3つ折りになっているものです。このケースはなかなか気に入っています。

  • axis_009@管理人
  • 2010年05月07日 18:55

このアルバムは否定的な意見を良く聞いていたので、いまだに聞いてません。(笑)
今度聞いてみようかな?

  • hajime
  • 2010年05月09日 10:44

>hajimeさん
 あんまりオススメしません。(笑)
「人気の無いアルバムだけど、個人的には好きだし、内容も意外と良いと思うんだけどなぁ。」的なニュアンスで書いてるつもりの記事です。聴いたこののない人に、「コレ聴かなきゃ」と自信を持ってオススメできるアルバムではありません。(笑)
 まぁ、何かの拍子に買っちゃって、聴いてみたら色々言われてるほど悪くなかった、という出会いがベストです。(?)

  • axis_009@管理人
  • 2010年05月09日 12:45

>>あんまりオススメしません。(笑)
そう言われると、余計に聞きたくなりました。笑

サード・アルバムから究極まではだいたい聞いてるんですが、唯一海洋だけ聞いたことが無かったんです。ちなみに一番好きなのは、この次のリレイヤーです。

  • hajime
  • 2010年05月10日 16:36

>hajimeさん

>>そう言われると、余計に聞きたくなりました。笑
 笑。。。

>>ちなみに一番好きなのは、この次のリレイヤーです。
 『Relayer』も『Close to the Edge』に並ぶ名盤ですね。私もかなり好きなアルバムです。

  • axis_009@管理人
  • 2010年05月10日 19:55


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