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2010年05月09日

Relayer/YES (イエス)

B00007LTIBRelayer
Yes
Warner Bros. 2003-08-25

 「YES(イエス)であって、YESではない。」としか言い様の無い、これまでのYESからは想像の出来ない、プログレッシブ・ロックというよりはジャズ・ロック、フュージョン系の刺激的なサウンドを聴かせる突然変異的な異色作『Relayer(リレイヤー)』(1974年発表)。しかし、その音や完成度は非常に高く、後年徐々に評価を高め『Close to the Edge(危機)』(1972年)と並んで最高傑作に挙げる人も多い名盤です。
 本作では脱退したRick Wakeman(Key.リック・ウェイクマン)に替わり、本格的な音楽教育を受けて豊富な音楽知識を持ち、尚且つ、その素養を充分に生かすことの出来るテクニックとセンス、オリジナリティーを併せ持ったスイス人のキーボード・プレイヤーPatrick Moraz(Key.パトリック・モラーツ)が加入。前作『Tales from Topographic Oceans(海洋地形学の物語)』(1973年)で、ある意味手馴れた感じ、悪く言えばマンネリ化しつつあったバンドのサウンドに大きな刺激を与えたアルバムです。


1. The Gates of Delirium
2. Sound Chaser
3. To Be Over

Jon Anderson - Vo.ジョン・アンダーソン
Chris Squire - B.クリス・スクワイア
Steve Howe - G.スティーブ・ハウ
Alan White - Dr.アラン・ホワイト
Patrick Moraz - Key.パトリック・モラーツ

 Chick Corea(チック・コリア)のReturn to Forever(リターン・トゥー・フォーエヴァー)かと見紛うようなジャズ・ロック系のサウンドとYES(イエス)ならではのプログレッシブで華やかなサウンドが融合したアルバム。前作での冗長、長くて退屈などという悪評からの反省から、本作では『Close to the Edge』同様、A面1曲、B面2曲という構成になっています。また、前作までの幻想的なテーマから「戦争と平和」という現実的なテーマに変化しているのも大きな特徴です。

 Jon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)は相変わらず、といった感がありますが、このYES(イエス)の新しいサウンドに一番刺激を受けたのは、やはりSteve Howe(G.スティーブ・ハウ)。バンドの救世主、Patrick Moraz(Key.パトリック・モラーツ)にも少なくない活躍の場を与えつつも、全篇弾きまくっており、多彩なプレイ・スタイルを聴かせてくれています。スティール・ギターの使い方も本作で極まった観あり。尚、本作でSteve Howeのギターの音が妙にペキペキ、パキパキしているのは、メインのギターを愛用のGibson ES-175からFenderのTelecaster(テレキャスター)に替えている為。この変更は、Patrick Morazの煌びやかなサウンドへの対抗上、及び本作での音楽性に合わせて、明るくメリハリのある音色を持つFenderシングル・コイル・ピックアップ搭載ギターを選んだとも言われますが、ロック・ギタリストが必ず手にするStratocaster(ストラトキャスター)ではなく、Telecasterを選択するところが、なんとなくSteve Howeらしい感じがします。
 前任者のBill Bruford(Dr.ビル・ブルフォード)と比較され、これまで分の悪かったAlan White(Dr.アラン・ホワイト)もスタジオ盤2作目とあってバンドに良く馴染み、本作ではいよいよ本領発揮。本作での音楽性に合わせて比較的タイトなベースを弾くChris Squire(B.クリス・スクワイア)との素晴らしいコンビネーションを聴かせてくれます。

 YESの大作主義と御馴染みのイエス・サウンドをPatrick Morazがバンドに持ち込んだジャズ、ラテンなどの要素と煌びやかなシンセサイザー、ローズ・ピアノのサウンドでジャズ・ロック風味に仕上げた"The Gates of Delirium"、初めてこのアルバムを聴いた人は、あまりのインパクトに他の2曲の印象が薄くなってしまうであろう、Patrick Morazの影響を受け、正にジャズ・ロック・バンドと化したYESがハイ・テンションでハードに繰り広げる狂熱のナンバー"Sound Chaser"、前曲での熱い演奏をゆったりとクールダウンさせる隠れた名曲"To Be Over"収録。

 残念ながらPatrick Morazは本作のみでバンドを脱退。Rick Wakeman脱退時と同様、YES在籍中に発表したソロ・アルバム『The Story of I
』の好評と、バンド内の確執が原因といわれています。本作では有効に作用したPatrick Morazの音楽的素養が、バンド内で徐々に傲慢化し、特にJon Andersonとの不仲に繋がったといわれています。どちらが悪い、などとは判断の仕様がないのですが、この確執はかなり根深い様で、1990年代に集合、離散、再編成を繰り返してきたYESにあって、唯一呼んで貰えなかった、ということでも分かります。(Patrick Morazが既にYESに対して興味が無かっただけかもしれませんが。)
 面白いのは、脱退後からYESの音楽に酷評を続けていたBill Brufordが本作を絶賛し、後にPatrick Morazとのユニットを結成して『Music for Piano and Drums
』(1983年)を発表していること。流石プログレ界は人事異動が忙しいですね。


B000001F4EPrivate Collection
Jon & Vangelis
Universal International 1990-10-25

 Patrick Moraz加入前、新たなキーボード・プレイヤー候補に挙がっていたVangelis(ヴァンゲリス)とJon Anderson(ジョン・アンダーソン)が組んだユニットJon and Vangelis(ジョン・アンド・ヴァンゲリス)が1983年に発表した代表作。


B0000072BDThe Story of I
Patrick Moraz
Virgin 1998-06-30


B00007LTIBRelayer
Yes
Warner Bros. 2003-08-25


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リレイヤー/イエス from SUPER ROCK AND POPS

「モラーツが 悪い訳では ないけれど」 1998年6月20日中古品を購入。 イエ

Yes - Relayer from ロック好きの行き着く先は…

70年代に一世を風靡したプログレバンドの代名詞でもあるイエス。一般的に名作と云われるアルバムには「こわれもの」や「危機」ってのがあって、

comments

 この作品も名盤ですね。その時の気分によっては「危機」より、こっちの方が上と思うときもあります。イエスのシンフォニック感は少なくなってますが、緊張感は半端じゃないです。
 パトリック・モラツの「The Story of I」も聞きましたが、こちらも面白い作品でしたよ。イエスでもう1作ぐらい聞きたかった。

  • Bert
  • 2010年05月10日 08:52

>Bertさん

>>その時の気分によっては「危機」より、こっちの方が上
 『リレイヤー』も『危機』も良いアルバムですね。個人的には甲乙つけ難いです。根元はイエスだけど、上物がシンフォニック・ロックとジャズ・ロックというように違うので、Bertさんが言われているように「その時の気分によって」という感じでしょうか。

>>イエスでもう1作ぐらい聞きたかった
 確かに、その通りですね。ただ、新加入のパトリック・モラーツとバンドが互いに尊重しあっている本作ぐらいの方がバランスが取れてて良かったのかも。もし次があったら主導権の取り合いが始まって、違った意味で異色作が生まれていたかもしれません。(笑)
 次作の『究極』に収録されている、これまた名曲の"Awaken(悟りの境地)"はパトリック・モラーツ在籍中に基となる曲が作られていたみたいなので、そこから想像するというのも面白い、かな?

  • axis_009@管理人
  • 2010年05月10日 12:35

僕にとってはこのアルバムがイエスのベストです。(「危機」は別格扱い。)
本当に良く出来たアルバムだと思います。

>>隠れた名曲"To Be Over"
他の2曲に隠れがちですが、僕はこれが一番好きです。スティーブ・ハウも良いギター弾いてます。

  • hajime
  • 2010年05月10日 16:40

おっ、ブログ復活してる。^^
以前マイルス・デイヴィスの記事でコメントを入れさせていただいていたtakuです。(覚えてますか?)

イエスはどうも仰々しくて苦手ですが、このアルバムはいいですね。イエスで1枚選ぶとすればこれです。一応「危機」も良く聞いていましたが、何時聞いても飽きないのは「リレイヤー」の方です。鮮度が落ちない、というか。

  • taku
  • 2010年05月10日 18:51

>hajimeさん

>>スティーブ・ハウも良いギター弾いてます。
"To Be Over"の中間のギターなんて特に良いですよね。なんとなくトロピカル。

>takuさん
 こっそりと復活してみました。(笑)
 このアルバムはロックだけでなく、色々なジャンルの音楽を聴いてる方に特に評判が良いような気がします。

>>鮮度が落ちない
 本当にそう。イエスのアルバムでは一番ですね。^^♪
あと、前作の『海洋地形学の物語』あたりの大作に較べて本作の"錯乱の扉"なんて同じ20分前後の収録時間にも拘らず、長さを感じさせないんですよね。10分弱の"サウンド・チェイサー"や"トゥー・ビー・オーヴァー"なんて、あっという間に終わってしまいます。それだけ聴く人を飽きさせない、密度の高い良く出来たアルバムなんだなぁ。と思います。(『海洋』はあれはあれで、まったり出来て好きですが。)

  • axis_009@管理人
  • 2010年05月10日 19:51

>パトリック・モラーツとバンドが互いに尊重しあっている本作ぐらいの方がバランスが取れてて良かったのかも

それも言えてますね。笑

  • Bert
  • 2010年05月12日 12:20

クイーンズパークでの演奏は最高だったと思う。
ジョンの目も恐いし。
ただ音が酷いのが残念でなりませんが。
テレキャスの音はキンキンし過ぎて耳に痛くもあります(汗)
(その後ドラマではストラトも使ってますよね)
それでもハウのギターは大好きです。
SOONのスチールギターも堪りませんよねえ。いひひひw

そんなこんなで、ブログ村から来て見ましたm(_ _"m)ペコリ

  • サトリーズ
  • 2010年05月12日 17:31

>Bertさん
>>それも言えてますね。笑
 ^^♪

>サトリーズさん
こんにちは。はじめまして、かな?

>>ブログ村から来て見ました
 以前はよくブログを更新していたので、ブログ村にもTBしてたんですが、2年振りぐらいにブログを再開したのでブログ村のことをすっかり忘れてました。と言う訳で、イエスの記事をまとめてTBしてみました。^^;

>>テレキャスの音はキンキンし過ぎて
 テレキャスって難しいんですよね。ミスピッキングが目立つギターだし。スティーブ・ハウって、生音に拘ってるっぽいから、結構厳しい選択だと思うのですが、本人はテレキャスターの音が良かったんでしょうね。
(フェンダー全般に言えることですが、ギブソンみたいに誤魔化しが効かない。その中でもテレキャスターは特に。)

>>それでもハウのギターは大好きです。
 なんかクセになるんですよね。この人のギターって。

  • axis_009@管理人
  • 2010年05月12日 19:47


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