2010年05月15日
Going for the One/YES (イエス)
![]() | Going for the One Yes Rhino/Elektra 2003-08-25 |
プログレッシブ・ロック・ブームの衰退期にYES(イエス)が新境地を開くべくPatrick Moraz(Key.パトリック・モラーツ)を迎えて制作したジャズ・ロック、フュージョン志向の名盤『Relayer(リレイヤー)』(1974年)。それから3年、時代はパンク・ロック、ディスコ・ブームが吹き荒れ、70年代前半に活躍した大物ロック・バンドは既にオールド・ウェーブと呼ばれて人気凋落の一途を辿る中でYESが発表した『Going for the One(究極)』(1977年)。
Rick Wakeman(Key.リック・ウェイクマン/当初はゲスト・ミュージシャン扱いでレコーディングに参加)が復帰して制作された本作は、時代の流れに合わせてか、『1st』から『The Yes Album(サード・アルバム)』の頃に原点回帰したかのような比較的コンパクトにまとめられた楽曲で構成されており、それまでの大作主義的作品の魅力を5分前後に凝縮することにもある程度成功している為、1曲ごとの密度は非常に高く、Jon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)が「YESの最高傑作」と豪語する大作主義の名残"Awaken"など良作揃い。『Close to the Edge(危機)』(1972年)、『Relayer』に次いでYESの代表作として挙げる人の多いアルバムです。
1. Going for the One
2. Turn of the Century
3. Parallels
4. Wonderous Stories
5. Awaken
Jon Anderson - Vo.ジョン・アンダーソン
Chris Squire - B.クリス・スクワイア
Steve Howe - G.スティーブ・ハウ
Rick Wakeman - Key.リック・ウェイクマン
Alan White - Dr.アラン・ホワイト
人気絶頂期のYES(イエス)というテクニカル集団には、どんな難曲だとしてもアイ・コンタクトで全員が一斉に演奏を始めると、ずれる事無くピッタリ合ってる(実際にはそんなことは無いでしょうけど)、と思わせる様な凄みがあったのですが、本作はAlan White(Dr.アラン・ホワイト)によるカウントに導かれて、YESでは珍しいシンプルなロックン・ロール・スタイルのリラックスしたムードで演奏される"Going for the One"でスタート。イントロ部分こそ意表をつくYES版ロックン・ロールですが、Jon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)の歌声が聞こえ始めたあとは、何処を取っても上質なYESサウンド。重厚なコーラスとYES独特のポップ感覚で上手くまとめられています。続く、Steve Howe/G.スティーブ・ハウ)主導で制作された、実にYESらしい作品"Turn of the Century"、Chris Squire(B.クリス・スクワイア)作の80年代に流行した、所謂「3分間プログレ」への下地が充分に出来上がっていたことを窺わせる"Parallels"、シングルヒットしたJon Andersonワールド全開の"Wonderous Stories"、そしてラストを飾るYESならではの大作"Awaken"(10分過ぎ辺りからの展開、演奏はこれまでのイエスの楽曲の中でも上位に入る名演)。全体的に、YESを代表する名曲とまでは言えないものの、演奏はもちろん、メロディー・ラインも良く、YESの美味しい部分のみでまとめたかの様な内容で、かなりの良作に仕上がっています。
個人的な感想としては、とにかく手堅くまとめたアルバム、といった感じでしょうか。また、前作から3年というアルバム発売間隔はリスナーを以前、以後に分けられる充分なスパンだと思いますが、かつての名盤の数々を聴き込んできたファンにとっては、物足りない、手堅すぎて面白味が無い、といった感があるものの、『Going for the One(究極)』から聴き始めた人にとっては、かなりの傑作であると映る可能性は高く(実際、最高傑作に本作を上げる人も多い)、そういった意味では、YESを聴きたいという人が最初に手にするには最適のアルバムでもあり、個人的にはロック好きへのオススメは『The Yes Aibum(サード・アルバム)』、その他の人には『Going for the One』と決めていました。(まぁ、今では「イエス聴きたいんだけど、何が良い?」なんて聞いてくる人、居なくなりましたけどね。苦笑)
そういえば、これまでYESの記事を幾つか書いてきたのに、良く考えると1度も触れていなかった、『Fragile(こわれもの)』から続いていたRoger Dean(ロジャー・ディーン)によるジャケット・デザインが本作からイギリスのデザイン集団Hipgnosis(ヒプノシス)に変わり、イエスらしい幻想的なジャケットから、現代的、且つ抽象的なデザインに変わってしまいました。これは個人的には非常に残念。やはりYESのアルバムは独特な世界観のあるRoger Deanじゃないと。YESを聴きながらジャケットを眺めるという楽しみが減ってしまいました。
![]() | Going for the One Yes Rhino/Elektra 2003-08-25 |
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- by axis_009
- at 11:40
- Comments (8)
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comments
こんにちは。
いまだに「海洋地形学の物語」 (axis_009さんの前の記事でちょっと興味が湧いてる)だけは聞いたことが無いんですけど、聞いたことのあるアルバムの中では、80年代以降のイエスも含めて「危機」「リレイヤー」「究極」、この3枚が僕のベスト3かな。アーティスティックな完成度としては他のアルバムに譲るけど、(axis_009さんが記事にも書かれていますが)イエスの良いところがコンパクトに凝縮されていてイエスのアルバムの中ではダントツに聞きやすいアルバム、そういう評価でのベスト3入りです。
>hajimeさん
>>「危機」「リレイヤー」「究極」、この3枚が僕のベスト3かな。
イエスの記事もある程度進んだのでちょっとまとめてみると、私の好みではこんな感じです。^^♪
Sランク(歴史的名盤)
『危機』
Aランク(名盤)
『サード・アルバム』、『こわれもの』、『リレイヤー』
Bランク(かなり良い)
『イエスソングス』、『究極』、『90125』
Cランク(良い)
『海洋地形学の物語』、『ドラマ』
Dランク(普通)
『トーマト』『イエスショウズ』、『アンダーソン,ブラッフォード,ウェイクマン&ハウ』、『トーク』
Eランク(ちょっと落ちる、かな?)
『1st』、『時間と言葉』
*イエスのアルバムに限ったランク付けです。イエスの水準は高いのでDランク(普通)でも一般的には結構良いアルバムです。
*ランク内はアルバム発表年度順
*記載の無いアルバムは、書き忘れか、聴いてないか、もしくはランク外。ちなみに90年代後半以降のアルバムは、殆ど聴いてません。^^;
*「海洋」はその時の気分によってランキングの上下が激しいアルバムです。時によってはAランク近くまで上がることも。
*明日になったら、順位がまた変わってるかも。(笑)
axis_009さんにしては素早いコメント返し、しかも、長文でありがとうございます。(笑)
axis_009さんのランク付け、僕もほぼ納得です。でも、「90125」が意外と高いランク付けで少しビックリ。axis_009さんは80年代イエスは好みじゃないと思ったんだけどな。(笑)
僕もトレバー・ラヴィンのイエスは抵抗なく聞いてました。
>hajimeさん
>>axis_009さんにしては素早いコメント返し
いつも遅くてすみません。^^;
今日は記事を投稿したばかりなので、色々と文章を修正してたのでコメントいただいたのに気付くのが早かったのです。(笑)
よく読みなおしてから投稿しろ、ということなんですが。勢いだけで書いているので、後で直しても直してもちゃんと日本語にならなくて。(苦笑)まぁ、いつも途中で止めちゃうんですけどね。
>>80年代イエスは好みじゃないと思ったんだけどな
そうですか?結構好きですよ。トレヴァー・ラビンのアルバムと言ってもいいような作品ですが、YESらしい部分はきちんと残してあるし。このへんは裏方に回ったYES好きのトレヴァー・ホーンのプロデュース力とリーダーのクリスの力が大きいと思うんですけど、トレヴァー・ラヴィンの弾きまくりも嫌いじゃないです。^^♪
ただ、『アンダーソン,ブラッフォード,ウェイクマン&ハウ』は入れようか、どうしようかと、ちょっとだけ悩みました。基本、クリス・スクワイアがいればYESだ!!と思ってるほうなので。(笑)
こんばんは。
>>実際にはバンドの創作能力は確実に低下しつつあり
なかなか鋭いとこ突きますね。確かにその通りかも。
1曲目のタイトル曲なんて、ああいうタイプの曲をやることはイエスとしては斬新だし、演奏もイエスが演奏すればイエスになるのは流石だけど、曲自体はちょっと陳腐な感じもします。
イエス・アルバム・ランキング(?)、「究極」はAランクに上げてほしいなぁ。笑
>Bertさん
>>「究極」はAランクに上げてほしいなぁ。笑
ダメです。(笑)
コメントにも書いてますが、明日になればまた変わってるかもしれないランキングなので、あんまり気にしないで下さい。^^♪
こんにちは。イエス、聞くんですねえ。私は「究極」が発売された当日購入。ポスターを部屋に貼って置いた覚えがあります。でも思春期の少年の部屋に、怪しい(特にクリスのファッション!)男のポスター・・・・・
何の役にもたちませんでした・・・・
>ぷくちゃん
こんにちは。
>>イエス、聞くんですねえ。
プログレだとピンク・フロイドが一番好きなんですが、イエスもかなり好きなんですよ。
>>私は「究極」が発売された当日購入。ポスターを部屋に貼って置いた
『究極』のポスター貰って無いぞ。と思ったら、私が購入したのは発売から何年か後でした。(笑・発売後に友達にテープに録音してもらって、それをずーと聴いていたのだった。)
私がロックを本格的に聴き始めたのは75年~76年辺りからなんですけど、あの頃は最新アルバムより、少ない小遣いの中から60年代後半~70年代前半のロックの名盤を買い揃えるのに一生懸命だったような気がします。(エア・チェックなんかもよくしてました。)