March 21, 2008
Dig/MILES DAVIS featuring SONNY ROLLINS (マイルス・デイヴィス、ソニー・ロリンズ)
![]() | Dig Miles Davis Universal Japan 1990-10-25 |
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[試聴]iTunes Music Store - Dig
Charlie Parker(as.チャーリー・パーカー)のバンドに参加以来、徐々に頭角を現してきたMiles Davis(tp.マイルス・デイヴィス)は、Charles Parker、Dizzy Gillespie(tp.ディジー・ガレスピー
)、Bud Powell(p.バド・パウエル
)等の創り上げた、コード進行に基づいて自由にアドリブを繰り広げるビ・バップ(Be Bop)の命を削るかのような壮絶で過酷な演奏スタイルに限界を感じて、Charles Parkerの元を離れた後に九重奏団を結成。ウエスト・コースト・ジャズの流れを汲むクール・ジャズ(Cool Jazz)という新たなスタイルでアレンジ重視の、ある意味実験的な『Birth of The Cool(クールの誕生
)』(1948年)を発表。
そしてその後、Art Blakey(ds.アート・ブレイキー)、Sonny Rollins(ts.ソニー・ロリンズ)、Jackie McLean(as.ジャッキー・マクレーン)等と共に、フレーズをよりメロディアスに洗練させつつ、スター・プレイヤーのアドリブのみがメインだったビバップとは違った、バンド・アンサンブル重視のハード・バップ・スタイル(Hard Bop)の基礎を創り上げたのが1951年に発表された本作『Dig(ディグ)』です。
1. Dig
2. It's Only a Paper Moon
3. Denial
4. Bluing
5. Out of the Blue
Miles Davis -trumpet (マイルス・デイヴィス)
Sonny Rollins -tenor sax (ソニー・ロリンズ)
Jackie McLean -alt sax (ジャッキー・マクレーン)
Walter Bishop -piano (ウォルター・ビショップ)
Tommy Porter -bass (トミー・ポーター)
Art Blakey -drums (アート・ブレイキー)
歴史的な名盤とまでは言えないものの、先人達がジャズを芸術にまで高めたビバップ・スタイルを、若き日の後の巨匠達が新たなハード・バップという新境地に進むべく繰り広げる熱い演奏が魅力的な1枚。
Miles Davis(tp.マイルス・デイヴィス)主導でハードバップという新たなアイディアを取り入れたアルバムではありますが、実はドラムのArt Blakey(ds.アート・ブレイキー)の果たした役割が非常に大きく感じられるアルバムでもあり、1曲目のタイトル・ナンバー"Dig"での鮮烈な印象もあってか、全体的にArt Blakeyのドラムに牽引され、尚且つ刺激を受けながらMiles Davis(tp.マイルス・デイヴィス)が全体像を創り上げ、それに乗せられてSonny Rollins(ts.ソニー・ロリンズ
)、Jackie McLean(as.ジャッキー・マクリーン
)等が、新たなジャズの試みを熱く、そして奔放に吹きまくるという、Art Blakeyのドラムがあったからこそ、こういう形に仕上がったと言っても過言では無いアルバムになっています。そう考えるとハード・バップ誕生への過程において、Art Blakeyの貢献度はMiles Davisと並ぶほどの高い価値を持っていたのかもしれません。
所謂「ジャズ」という言葉を聞いて一般的な音楽ファンが思い浮かべるのが、1940年代から1950年代にかけてのビバップ、ハード・バップ期のジャズ・スタイルではないかと思います。Miles Davis(マイルス・デイヴィス)を聴いてみようと思い立ったマイルス初心者が、よくある名盤紹介的な本を読んで、突然『Birth of The Cool(クールの誕生)』、モード・ジャズ期の『Kind of Blue(カインド・オブ・ブルー)』(1959年)、エレクトリック期の『Bitches Brew(ビッチェズ・ブリュー)』(1969年)などを聴いてしまって投げ出してしまうより、ビバップからハード・バップへの移行期の好盤『Dig』、ハード・バップ・スタイルの完成形ともいえる『Relaxin'(リラクシン)』を始めとする"ing4部作"、大手コロンビアと契約して一気にMiles Davisの知名度を高めた『'Round About Midnight(ラウンド・アバウト・ミッドナイト)』(1957年)あたりから気楽に聴いてみるのも正解のひとつではないかと思います。
■Art Blakey (アート・ブレイキー)
![]() | A Night at Birdland, Vol.1 Art Blakey Quintet Toshiba EMI 2001-07-31 |
1. Announcement by Pee Wee Marquette
2. Split Kick
3. Once in a While
4. Quicksilver
5. Night in Tunisia
6. Mayreh
Clifford Brown -trumpet (クリフォード・ブラウン)
Lou Donaldson -alt sax (ルー・ドナルドソン)
Horace Silver -piano (ホレス・シルヴァー)
Curly Russell -bass (カーリー・ラッセル)
Art Blakey -drums (アート・ブレイキー)
ハード・バップ創世記にMiles Davis(tp.マイルス・デイヴィス)を煽ったと言っても過言では無い素晴らしい演奏を聴かせたArt Blakey(Dr.アート・ブレイキー)が、若きトランペットの新星Clifford Brown(tp.クリフォード・ブラウン)、ピアノのHorace Silver(p.ホレス・シルヴァー
)、アルト・サックスのLou Donaldson(as.ルー・ドナルドソン)等を率いて1954年2月21日にジャズ・クラブ 「バードランド」で行ったライブを収録した、ホットでエキサイティングなジャズの楽しさが詰め込まれたハード・バップ誕生を高らかに告げる名盤『A Night at Birdland, Vol.1(バードランドの夜 Vol.1)』。
Miles Davisは『Dig』(1951年)以降、徐々にクールでソフトなハード・バップ・スタイルへと向かいますが、『Dig』で聴かせたホットなハード・バップを極めたのがこのArt Blakey。強烈なシンバル・ワーク、スネアを豪快に連打する通称"ナイアガラ瀑布"(ばくふ=滝)と呼ばれた十八番のロール奏法、Art Blakeyのファンキーなドラムが快調に飛ばしてバンドを牽引する、躍動感溢れる演奏が満載。ジャズを聴きいてみたいというジャズ初心者に私が一番に勧めるのがこのアルバムです。
Charlie Parker(as.チャーリー・パーカー)を驚愕させ、トランペッターとしての実力はMiles Davis(tp.マイルス・デイヴィス)を凌ぐとまで言われた、夭折した天才Clifford Brown(本作発表の2年後に交通事故の為、25歳の若さで死去。)のメロディーを美しく歌い上げるような艶やかな音色とホットで流麗なアドリブは必聴。また、実力はあるものの、この後の活動が地味で目立たなかった為、今日では評価されることの少ないLou Donaldsonのサックスもこの日は絶好調。天才Clifford Brownと互角の真っ向勝負で、Charles Parkerが乗り移ったかのような素晴らしい演奏を聴くことが出来ます。
また、『A Night at Birdland, Vol.1』と共にハード・バップの人気を決定付けたMiles Davisの『Walkin'』(1954年)の2枚のアルバム両方に参加して、特に『A Night at Birdland, Vol.1』では5曲中3曲("Split Kick"、"Quicksilver"、"Mayreh")を提供しているHorace Silver(p.ホレス・シルヴァー)の演奏にも注目。ハード・バップ誕生においてHorace Silverの果した役割が非常に大きかったことが分かります。
(1954年2月21日収録)
![]() | A Night at Birdland, Vol. 2 Art Blakey Quintet Toshiba EMI 2001-07-31 |
![]() | Moanin' Art Blakey & The Jazz Messengers Parlophone Jazz 1999-03-23 |
1. Moanin'
2. Are You Real
3. Along Came Betty
4. Drum Thunder Suite
5. Blues March
6. Come Rain or Come Shine
Lee Morgan -trumpet (リー・モーガン)
Benny Golson -tennor sax (ベニー・ゴルソン)
Bobby Timmons -piano (ボビー・ティモンズ)
Jymie Merritt -bass (ジミー・メリット)
Art Blakey -drums (アート・ブレイキー)
Art Blakey(ds.アート・ブレイキー)の代表曲"Moanin'"を含む、Art Blakey & The Jazz Messengers(アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ)の傑作アルバム。1958年に発表され、日本でも大ヒットしてファンキー・ブームを巻き起こしたファンキー・ジャズの名盤です。
あまりにも有名なイントロから始まる、ジャズの世界でも1,2を争う有名曲"Moanin'"(Bobby Timmons/ボビー・ティモンズ作)。それに続くBenny Golson(ts.ベニー・ゴルソン)作曲の4曲。豪華絢爛なテーマからLee Morgan(tp.リー・モーガン)以下、各メンバーが叙情感豊かなソロで聴かせる"Are You Real"、Benny Golson色全開のクールな"Along Came Betty"、Art Blakeyのパワフルなドラム・ソロを挟みながら、幾つかのモチーフを繋げていく前衛的な構成を持った組曲"Drum Thunder Suite"、Art Blakeyのレパートリーの中では"Moanin'"に次いで有名な行進曲のブレイキー風ジャズ版アレンジ"Blues March"。実はこのBenny Golson作の4曲が本作を名盤たらしめているといっても過言ではない名曲、名演揃い。そしてラストが、これまでの熱い演奏から少しリラックスした演奏でクール・ダウン効果抜群のスタンダード・ナンバー"Come Rain or Come Shine"。"Moanin'"だけが全てのアルバムではなく、多くの聴き所、名曲を収録したハード・バップ・ファン必聴のアルバムの1枚です。
個人的には、ヒット曲"Moanin'"、"Blues March"ではなく、2曲目の"Are You Real"が本作のベスト・トラック。
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- by axis_009
- at 13:39
- Comments (4)
- Trackbacks (0)







comments
こんにちは。
一般的には「カインド・オブ・ブルー」などに較べると知名度はほとんど無いに等しい「ディグ」ですが名盤です。1曲目のタイトルナンバーからテンポよくラストまで、マイルスをはじめ、ロリンズ、ブレイキー他のメンバーも好調に飛ばしまくってます。1956年以降のハード・バップ全盛期の物も良いですが、このアルバムも大好きです。
このアルバムは本当に、これ以上は無いっていうくらいの熱狂盤です。しかし、時代の勢いがあったのかもしれませんが、同時代のアルバムに較べて、アート・ブレイキーが入ると雰囲気ががらっと変わったように聴こえるのは、やはりブレイキーの凄いところですねぇ。axis_009さんが次の記事で紹介されているVol.1、Vol.2なんかもアート・ブレイキーの入った1953年、1954年録音の演奏が良いです。
僕にとってDIGは隠れた(?)名盤。所謂名盤紹介などに挙げられることも少ないし、ハード・バップという形態も確立されていない時期に、ビ・バップからの脱皮を目指して勢いだけで録られたような演奏ですが、好きなアルバムです。マイルスも個性的だけど、テクニック的にはまだまだといった感じ。でも若さが感じられる演奏が良いですね。
hajimeさん
>>「ディグ」ですが名盤です
最近マイルス・デイヴィスを中心にジャズの記事を書いてますが、膨大な量に及ぶジャズの名盤の中から(聞いた範囲ですが)個人的に特に好きなアルバムばかりを紹介しています。もちろん、この『DIG』も大好きなアルバムです。
>>1956年以降のハード・バップ全盛期の物も良いですが、
1950年代後半のハード・バップを幾つか聴いた後に『Dig』を聴くと新鮮な感じがします。マイルス(25歳)、ロリンズ(22歳)等の若さがほとばしる演奏、というか。
といっても、アート・ブレイキーはこの頃は31歳ぐらいだからちょっとベテランかな。でも、アートも若いメンバーに混じって"カンカンカンカン"(もっとイケ)とバックで煽りまくりですね。
takuさん
>>アート・ブレイキーが入ると雰囲気ががらっと変わったように
ブレイキーのドラムは派手で分かりやすいところが好きです。(単純)
ケニー・クラークと並んでバップには欠かせないドラマーですね。
>>アート・ブレイキーの入った1953年、1954年録音の演奏が良いです
記事でも書いたんですが、私は1953年の演奏がイチオシです。^^♪
Bertさん
>>ビ・バップからの脱皮を目指して勢いだけで録られたような演奏ですが、
そこがこのアルバムの一番の魅力かもしれませんね。