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2010年07月29日

Art Pepper Meets the Rhythm Section/ART PEPPER (アート・ペッパー)

B000SLI7NSアート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション+1
アート・ペッパー
ユニバーサル ミュージック クラシック 2007-09-19

Art Pepper [試聴]iTunes Music Store - Art Pepper


1. You'd Be So Nice to Come Home To
2. Red Pepper Blues
3. Imagination
4. Waltz Me Blues
5. Straight Life
6. Jazz Me Blues
7. Tin Tin Deo
8. Star Eyes
9. Birk's Works

 ウエスト・コースト・ジャズを代表する、白人アルト・サックス奏者Art Pepper(as.アート・ペッパー)が、The Miles Davis Quintet(マイルス・デイヴィス・クインテット)が誇る最強のリズム・セクション、Red Garland(p.レッド・ガーランド)、Paul Chambers(b.ポール・チェンバース)、Philly Joe Jones(ds.フィリー・ジョー・ジョーンズ)を迎えて録音した代表作。(1957年発表)
 1957年1月、Art Pepperの所属するContemporary Rcordsのプロデューサーが、ロサンゼルスのジャズ・クラブで3週間の公演中だった人気絶頂のThe Miles Davis Quintetからリズム・セクションを借りて、ロサンゼルス滞在中にArt Pepperとの共演盤をレコーディングすることを思い立ち、Miles Davis(tp.マイルス・デイヴィス)に許可を得て実現したのが本作『Art Pepper Meets the Rhythm Section』です。

 ウエスト・コースト・ジャズの典型的な白人ミュージシャンであるArt Pepperのクールで洗練されたジャズと、ハード・バップ・ジャズを代表するホットな黒人リズム・セクションとの、ある意味相反する音楽の共演なのですが、意外にも互いの演奏が破状する事無くスムーズに融合。企画物のような急遽行われたレコーディングの割には、事前のリハーサル、楽曲の打ち合わせがきちんと行われたことが窺われ、レギュラー・コンボと見違うばかりの演奏を聴かせてくれます。また、乾いた抜けの良い音の中で時に哀愁ある湿り気を感じさせるArt Pepper特有のアルト・サックスの響きを黒人特有の粘り気のあるリズム・セクションの演奏がより際立たせる効果を挙げています。艶のある色気たっぷりのアルト・サックスの音色を聴くならこのアルバムです。



B000SLI7NSアート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション+1
アート・ペッパー
ユニバーサル ミュージック クラシック 2007-09-19


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2010年07月21日

The Lamb Lies Down On Broadway/GENESIS (ジェネシス)

B000002J1SLamb Lies Down on Broadway
Genesis
Atlantic / Wea 1994-09-20

 GENESIS(ジェネシス)の最高傑作との呼び声も高い前作『Selling England By The Pound(月影の騎士)』(1973年)の制作過程と内容に不満を持っていたPeter Gabriel(Vo.ピーター・ゲイブリエル)が、自らの欲求を満たすために湧き出るアイディアを余す事無く注ぎ込んでPeter Gabriel色一色に染め上げた傑作コンセプト・アルバム『The Lamb Lies Down On Broadway(眩惑のブロードウェイ)』(1974年)。知名度的にはあまり一般的なアルバムではありませんが、その内容と完成度はThe Who(ザ・フー)の『Tommy』、Pink Floyd(ピンク・フロイド)の『The Wall』等の傑作コンセプト・アルバムと並べてもまったく遜色の無い、奇才Peter Gabriel渾身の一作です。


Disc:1
[LP Side A]
1. The Lamb Lies Down On Broadway(眩惑のブロードウェイ)
2. Fly On A Windshield(風防ガラスを探して)
3. Broadway Melody Of 1974(1974年のブロードウェイ・メロディ)
4. Cuckoo Cocoon(おかしな繭のなか)
5. In The Cage(囚われのレエル)
6. The Grand Parade Of Lifeless Packaging(生命なき人形の大行進)
[LP Side B]
7. Back In N.Y.C.(追憶のニューヨーク)
8. Hairless Heart(ヘアレス・ハート 間奏曲 I)
9. Counting Out TIme(カウンティング・アウト・タイム)
10. Carpet Crawlers(カーペット・クロール)
11. The Chamber Of 32 Doors(32の扉の部屋)

Disc:2
[LP Side C]
1. Lilywhite Lilith(百合のようなリリス)
2. The Waiting Room(ウェイティング・ルーム 間奏曲 II)
3. Anyway(エニウェイ)
4. Here Comes The Supernatural Anaesthetist(超自然的な麻酔手)
5. The Lamia(妖婦ラミア)
6. Silent Sorrow In Empty Boats(エンプティ・ボート 間奏曲 III)
[LP Side D]
7. The Colony Of Slippermen (The Arrival/A Visit To The Doktor/Raven)(スリッパーマンの居留地/到着/ドクター・ダイパーを訪ねて/ワタリガラス)
8. Ravine(峡谷 間奏曲 IV)
9. The Light Dies Down On Broadway(ブロードウェイの光は死に絶えて)
10. Riding The Scree(断崖のレエル)
11. In The Rapids(急流との戦い)
12. It.(イット)

Peter Gabriel - Vo.ピーター・ガブリエル
Tony Banks - Key.トニー・バンクス
Mike Rutherford - B.マイク・ラザフォード
Steve Hackett - G.スティーブ・ハケット
Phil Collins - Dr,Vo,Per.フィル・コリンズ

 ニューヨーク・ブロードウェイのプエルトリカンの不良少年レエルが、空想の精神世界の中で時空間を飛び越えて、様々な不思議な人々との出会いとイマジネーション溢れる世界を旅しながら、分裂した自我を発見していくというストーリーなのですが、精神分裂的思考、中世ヨーロッパの神話、伝説、そして宗教的な比喩などの要素が含まれていたりと非常に難解な内容であり、その上(ヒプノシス制作のジャケットにも提示されていますが)レエルが急流に流される兄ジョンを助けるとその顔は自分と同じ顔だったという、実はそれまで物語の主人公だと思っていたレエルとその空想の舞台は兄ジョンが生み出した精神世界の中での物語であり、自分の生み出したレエルが精神世界の中でジョン自身を救済し、最後は自分探しの旅の果てに同化するというような衝撃的、且つ更に難解な結末(という風に解釈しているのですが…)。特に日本人には感覚的にも分かり難い分野であり、欧米人にも難解なものを日本人が完全に理解しようとするというのも難しい話で、ある程度のストーリーの流れだけ把握しておいて、後は難しいことは考えないでジェネシスの音世界に身を任せながらリスナー自身でイマジネーションを拡げていく、というのが一番良いのかもしれません。それに応えるだけの内容をこのアルバムを持っていますし、聴く人それぞれに様々な情景や色彩を魅せてくれるはずです。

 前作『Selling England By The Pound(月影の騎士)』(1973年)がPeter Gabriel(Vo.ピーター・ガブリエル)を除く4人のメンバー主導で制作され、ヴォーカル・パートを減らされた上、自らのアーティスティックな表現の場を奪われつつあると危機感を感じていたPeter Gabrielは、演奏パートの録音が終了して他のメンバーがスタジオを離れた後もスタジオに残って歌詞を書き続け、Tony Banks(Key.トニー・バンクス)がインスト・パートとして作った部分に歌を載せたり、Steve Hackett(G.スティーブ・ハケット)のギター・ソロを消してヴォーカルを入れるなど、出来上がっていた演奏パート部分をメンバーに無断で大幅に改編するという暴挙に出ます。このことは、最終的に出来上がったアルバムを聴いた他のメンバー、特にTony BanksとSteve Hackettを激怒させる結果となりますが、アルバムは優れた傑作に仕上がり、Peter GabrielはGENESIS(ジェネシス)で遣るべき事は遣り尽したとばかりにアルバム発表後のツアーを終えると他のメンバーの困惑をよそにあっさりとバンドを脱退してしまいます。
 これぞPeter Gabrielのアルバム、という本作を創り上げ、華々しくツアーも行い、アルバム、ツアー共に高評価を得ていたのにも拘らず、脱退後に「Phil Collins(Dr,Vo,Per.フィル・コリンズ)の方が歌が上手いし、僕がいない方がGENESISは良いバンドになる。」というようなコメントを残していたり、GENESISの次作『A Trick of the Tail(トリック・オブ・ザ・テイル)』発表時には「ほら、やっぱり良くなっただろ」的なコメントをしている辺りは、当時のコンプレックスの塊のようなPeter Gabrielの複雑な人間性が垣間見えて、なかなか面白いところではあります。
*脱退理由は、バンドへの不満とか、次のステップへ、という訳ではなく、ライヴやアルバム制作の過密スケジュールの為、産まれたばかりの娘(かなりの難産、しかも出産後も危険な状態が続いていた様です)と奥さんの傍に居ることが出来なくてロック・スターの生活に嫌気が差した、という様なことだったと思います。また、Peter Gabrielタイプのミュージシャンを演ずることに疲れた、という様なコメントも残しているようです。

 『Nursery Cryme(ナーサリー・クライム/怪奇骨董音楽箱)』(1971年)収録の"The Musical Box"、"The Fountain Of Salmacis"、『Foxtrot(フォックストロット)』(1972年)収録の"Watcher Of The Skies"、"Supper's Ready"、『Selling England By The Pound(月影の騎士)』(1973年)収録の"Firth Of Fifth"、"The Cinema Show"というようなキラー・コンテンツが無いため地味な印象を受けるアルバムではありますが、収録曲はバラエティー豊かで良作揃い。コンセプト・アルバムという性質上、きちんと聴こうと思えば集中力を必要としますが、気楽に聴こうと思えば、聴く側を飽きさせない構成、バンドの演奏レベルと楽曲クオリティーの高さから2枚組みという長さを感じさせないアルバムでもあります。個人的には"The Lamb Lies Down On Broadway"、"In The Cage"、"Back In N.Y.C."、"Carpet Crawlers"、"The Chamber Of 32 Doors"、"Lilywhite Lilith"、"The Lamia"、"The Colony Of Slippermen"、"It"辺りはオススメの楽曲です。

 アルバムを順番に聴いていくと前後の曲で曲調が大きく変わる部分が多いのは、前作であまりにも良く出来た楽曲間の流れをピーター・ガブリエルが気に入らず、本作では意識的に全体的な統合性を無くした作りにしたかったことや、ミュージカルやオペラのステージような場面転換(セット・チェンジ)を音楽で表現しようとしたから、などと言われています。そういう意味では発売当時のレコードを裏返すという作業も大きな場面転換的作業であり、LPフォーマットのSide AからSide Bといった間を意識しながら聴くのが正解ではないかと思います。


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B000002J1SLamb Lies Down on Broadway
Genesis
Atlantic / Wea 1994-09-20


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2010年07月16日

TYR/BLACK SABBATH (ブラック・サバス)

B00002599ITYR
Black Sabbath
EMI 2002-08-26

 Tony Martin(vo.トニー・マーティン)在籍時のBLACK SABBATH(ブラック・サバス)の最高傑作『TYR』(1990年)。リズム・セクションにCozy Powell(d.コージー・パウエル)とNeil Murray(b.ニール・マーレイ)を迎えて制作された本作は、名曲、名演揃いでBLACK SABBATH名義の全アルバムの中でも少なくともベスト5に入る傑作です。


1. Anno Mundi
2. The Law Maker
3. Jerusalem
4. The Sabbth Stones
5. The Battle Of Tyr
6. Odins Court
7. Valhalla
8. Feels Good To Me
9. Heaven In Black

Tony Iommi g.トニー・アイオミ
Tony Martin vo.トニー・マーティン
Neil Murray b.ニール・マーレイ
Cozy Powell d.コージー・パウエル

 BLACK SABBATH(ブラック・サバス)に参加した期間は、1997年のオリジナル・メンバーでの再結成を除くと歴代ヴォーカリストの中では最長。それまでに参加した大物ヴォーカリスト達の存在で影の薄い印象があるTony Martin(vo.トニー・マーティン)ですが、Ronnie James Dio(ロニー・ジェイムス・ディオ)にも劣らないほどの実力を持つ正統派ハード・ロック・シンガーであり、優れたソング・ライターであるのは間違いの無い事実。もう少し評価されても良いのではないかと思いますが、Tony Iommi(g.トニー・アイオミ)=BLACK SABBATHであるとはいえ、オリジナル・メンバーはTony Iommiのみという、既にバンド・メンバーにしてもサウンド的にも一般的にBLACK SABBATHとしてイメージされる音とはかけ離れたバンドになっており、セールス的な戦略であるとはいえBLACK SABBATH名義である必要があるのか?といった時期でもあり、そういった部分でもかなり損をしているのではないかと思われます。また、Ozzy Osbourne(オジー・オズボーン)、Ronnie James Dio(ロニー・ジェイムス・ディオ)という二人のヴォーカリストの復帰、再脱退に振り回され、この時も『TYR』という名盤を作り上げて次の作品が期待されながらもRonnie James Dioの復帰によりバンドを離れざるを得なかったのはあまりにも不運な出来事でした。

 ヘヴィ・メタルという音楽の格好良さの全てが詰まっていると言っても過言では無い"Anno Mundi"、Raibow時代を彷彿させるCozy Powell(d.コージー・パウエル)のドラムが印象的なハイ・テンション・ナンバー"The Law Maker"、重厚な前半部分からアップテンポな後半へとダイナミックな展開を見せる"The Sabbth Stones"、アルバムの最後を締めくくるにふさわしいドラマチックな"Heaven In Black"他、これぞヘヴィ・メタル!Tony Martinの熱唱で聴かせるサバス流様式美の極致。(1990年発表)


■関連記事→ Master of Reality/BLACK SABBATH (ブラック・サバス)
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B00002599ITYR
Black Sabbath
EMI 2002-08-26


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2010年07月09日

Selling England By The Pound/GENESIS (ジェネシス)

B00005GOABセリング・イングランド・バイ・ザ・パウンド
ジェネシス
EMIミュージック・ジャパン 1995-11-29

 5人のメンバーが総力を挙げて創り上げた名盤『Foxtrot(フォックストロット)』(1972年)の高評価が、ステージでの演劇性の高いパフォーマンスや文学的で難解な歌詞など、バンドの表現者として人気が集中していたPeter Gabriel(Vo.ピーター・ゲイブリエル)のみに向けられたことに反発した他のメンバー4人が主導権を握って制作した本作『Selling England By The Pound(月影の騎士)』(1973年発表・通算6作目)は、GENESIS(ジェネシス)らしいシニカルな内容と叙情性豊かで英国的な美しいメロディー・ラインはそのままに、前作で完成されたGENESISのスタイルを熟成し、更に演奏面を大幅に充実させた、Peter Gabriel期のGENESISの作品の中でも『Foxtrot』と並んで最高傑作に挙げる人の多いアルバムです。


1. Dancing With The Moonlit Knight
2. I Know What I Like (In Your Wardrobe)
3. Firth Of Fifth
4. More Fool Me
5. The Battle Of Epping Forest
6. After The Ordeal
7. The Cinema Show
8. Aisle Of Plenty

Peter Gabriel - Vo.ピーター・ガブリエル
Tony Banks - Key.トニー・バンクス
Mike Rutherford - B.マイク・ラザフォード
Steve Hackett - G.スティーブ・ハケット
Phil Collins - Dr,Vo,Per.フィル・コリンズ

 この時期のGENESISの傑作群の中でも比較的ポップで聴き易い楽曲が収録された本作『Selling England By The Pound(月影の騎士)』は、その良質なメロディーもさることながら、特筆すべきはPeter Gabriel(Vo.ピーター・ゲイブリエル)を除く楽器隊4人のメンバーが創り上げた素晴らしいインスト・パート。キーボードのTony Banks(Key.トニー・バンクス)が創り上げた音世界に彩を加えるSteve Hackett(G.スティーブ・ハケット)のギター、印象的なベース・ラインで楽曲を引き締めるMike Rutherford(B.マイク・ラザフォード)、そしてある時は歌うように、またある時はダイナミックに楽曲を盛り上げるテクニカルなPhil Collins(Dr,Vo,Per.フィル・コリンズ)のドラム。本作のインスト・パートでの多彩な楽曲アイディア、素晴らしい演奏を聴かされると、前作『Foxtrot(フォックストロット)』はPeter Gabrielの才能によるもの、という世間の評価にメンバーが反発したくなる気持ちも分かりますし、更に言えば『Foxtrot』への楽曲制作、アレンジ、構成等のアイディアにおける貢献度は、Peter Gabrielよりも特にTony Banks、そしてSteve Hackettあたりの方が高かったのであろうと思える程の完成度の高い内容です。
 また、本作は(Peter Gabrielも含めた)メンバー間のバランスが一番良かった時期のアルバムであり、メンバーの誰か(Peter GabrielやTony Banks)が出過ぎることも無く、楽曲制作、演奏内容的にも各メンバーの個性が充分発揮された楽曲揃い。特に本作以降サウンド面で徐々に主導権を握って行く事になるTony Banksが作るキーボード・サウンドで完璧にアレンジされた楽曲群に対して、ギターのSteve Hackettが居場所を失っていきますが、本作ではGENESIS脱退後のソロ活動で「ジェネシス以上にジェネシスらしい」と評されたSteve HackettとTony Banksの均衡が絶妙な形で保たれてるが故に、本作『Selling England By The Pound』は、(GENESIS黄金期と言われる)この時期のメンバー編成における最もGENESISらしい作品だったのではないかと思います。そういう意味では、Peter Gabrielのアルバムへの不満はあるにせよ、メンバー自身が認めるとおり、Peter Gabriel期のアルバムでの最高傑作は本作であると言っても良いのかもしれません。

 前述したような製作過程からTony Banks等4人のメンバーにとっては満足できる内容の傑作アルバムになりましたが、ヴォーカル・パートが大幅に減らされた上、歌詞を書くのが遅かったPeter Gabrielに替わって他のメンバーが歌詞を書いたり、初期GENESISが持っていた色が消されつつある内容にGENESISが普通のロック・バンド(リスナーにとっては充分ジェネシスならではの世界が広がっていると思うのですが)になってしまうという危惧を抱いたPeter Gabrielには納得のいかない作品となり、次のスタジオ・アルバム制作(『The Lamb Lies Down On Broadway/眩惑のブロードウェイ』)においてPeter Gabrielが他のメンバーに反旗を翻し、作品の出来は素晴らしい内容に仕上がったものの、Tony Banks、Steve Hackett等の顰蹙、激怒を呼ぶほどの暴走劇を繰り広げることになります。

 ダイナミックに展開するGENESISならではの静と動の対比が見事な楽曲"Dancing With The Moonlit Knight"。ポップな曲調ながら単なるポップ・ソングに終わらせないジェネシスの面白さを感じさせるシングル・ヒット曲"I Know What I Like"。本作収録の"The Cinema Show"と並ぶ代表曲のひとつ、壮大なシンフォニック・ロック"Firth Of Fifth"。Phil Collinsがメイン・ヴォーカルをとる、装飾を全て取り払った素のGENESISといった感のあるアコースティック・ナンバー"More Fool Me"。Peter Gabrielならではの演劇的要素を持つ前作からの延長線上にある"The Battle Of Epping Forest"。12弦ギターの調べに乗せて歌われる幻想的で美しいメロディー・ラインを持つヴォーカル・パートからTony Banksがプログレッシブ・ロック史上に残る名演を聴かせる後半のインスト・パートへの流れが素晴らしい、GENESISを代表する名曲"The Cinema Show"他。
 個人的にはPeter Gabriel期のアルバムの中で『Foxtrot』と甲乙はつけがたいのですが、長年GENESISを聴いてきて強いて言うなら、やっぱり最後は本作『Selling England By The Pound』に行き着くかな、という感はあります。


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B00005GOABセリング・イングランド・バイ・ザ・パウンド
ジェネシス
EMIミュージック・ジャパン 1995-11-29


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2010年07月04日

Foxtrot/GENESIS (ジェネシス)

B000002J1MFoxtrot
Genesis
Atlantic / Wea 1994-10-04

 Steve Hackett(G.スティーブ・ハケット)、Phil Collins(Dr,Voフィル・コリンズ)をメンバーに迎えて制作した『Nursery Cryme(ナーサリー・クライム/怪奇骨董音楽箱)』(1971年)でバンドの方向性を明確にしたGENESIS(ジェネシス)が、前作でのスタイルを推し進め、キーボードのTony Banks(トニー・バンクス)を中心に様々なアイディアを盛り込んで、遂にGENESISの音楽スタイルを完成させた名盤『Foxtrot(フォックストロット)』(1972年発表・通算4作目)。


1. Watcher Of The Skies
2. Time Table
3. Get 'Em Out By Friday
4. Can-Utility And The Coastliners
5. Horizon's
6. Supper's Ready

Peter Gabriel - Vo.ピーター・ガブリエル
Tony Banks - Key.トニー・バンクス
Mike Rutherford - B.マイク・ラザフォード
Steve Hackett - G.スティーブ・ハケット
Phil Collins - Dr,Vo,Per.フィル・コリンズ

 Peter Gabriel(Vo.ピーター・ガブリエル)による演劇性の高い表現方法と練りこまれた高度で緻密な演奏、そして神話や英国の童謡などをテーマにした幻想的でシュールなユニークな内容、如何にも英国のバンドらしいメロディー・ラインを持つ優れた楽曲で、GENESISがPINK FLOYD(ピンク・フロイド)、KING CRIMSON(キング・クリムゾン)、YES(イエス)、EMERSON, LAKE & PALMER(エマーソン、レイク&パーマー)といったプログレッシブ・ロックの大物バンドと肩を並べる地位を確立したアルバムです。

 個人的な好みではプログレ期のGENESIS(ジェネシス)の最高傑作は、ヴォーカルがPeter Gabriel(Vo.ピーター・ガブリエル)からPhil Collins(Vo,Dr.フィル・コリンズ)替わって、より洗練され、よりポップに演奏された完成度の高いライブ・アルバム『Seconds Out(眩惑のスーパー・ライヴ)』(1977年)だと思っているのですが、やはりPeter Gabriel期のアルバムも聴き込むとクセになる強力な魅力があって捨てがたいところ。特に本作『Foxtrot(フォックストロット)』(1972年)から続く『Selling England By The Pound(月影の騎士)』(1973年)、『The Lamb Lies Down On Broadway(眩惑のブロードウェイ)』(1974年)の3作品は大きな魅力を持った傑作揃い。何れも甲乙つけがたく、また各作品がそれぞれ違った魅力を持つため、Peter Gabriel期の最高傑作を挙げる場合、3作品から1作を選ぶのは非常に困難。プログレ期のGENESISに興味を持った方には何時かは是非耳にして欲しいアルバムばかりです。
 熱心なプログレッシブ・ロックのファンで未聴の方は少ないと思いますが、プログレ未体験、プログレは好きだけどなんとなくGENESISとは縁遠かったという方など、もしこれから聴いてみようという方には個人的な意見ですが、『Seconds Out』をまず聴いて気に入ったら、比較的3作品の中ではその内容の面白さ、楽曲の良さが分かりやすい『Selling England By The Pound』、その次に聴き込むうちに染み込む様に深層まで効いてくる『Foxtrot』、そして最後にPeter Gabrielが他のメンバーの顰蹙をものともせず自らの欲求を作品に詰め込んだ、Peter Gabrielにとってのジェネシスでの集大成的な2枚組みのコンセプト・アルバム『The Lamb Lies Down On Broadway』という順番に聴くのがオススメです。
(アルバムの出来の良い順ではなく、各アルバムの持つ音楽性を考慮した順番です。この流れで聴いた方が各アルバムの良さが一段とよく分かるのではないかと思います。一般的には本作『Foxtrot』が知名度、評価的にも3作の中では若干高いようです。)

 Peter Gabriel期のGENESISにおいてライヴのクライマックスとして演奏される事の多かった代表曲のひとつ"Watcher Of The Skies"、叙情的で美しいメロディー・ラインを持つ"Time Table"、美しく響くギターの音色に導かれて静かに始まる哀愁漂う導入部から後半に向けてドラマティックに壮大な盛り上がりをみせる名曲"Can-Utility And The Coastliners"、GENESISの持つ演劇性と多彩なアイディアが緻密なアレンジで詰め込まれた、メンバー自身がGENESISの最高傑作に挙げる大作"Supper's Ready"他収録。
 Peter Gabriel期のGENESISについて語られる際に大きな話題になるPeter Gabrielの自虐的ともいえる奇抜な衣装、パフォーマンスについては以下に掲載したYou Tubeの映像でその断片をご確認ください。


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B000002J1MFoxtrot
Genesis
Atlantic / Wea 1994-10-04


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2010年07月03日

Minute by Minute/THE DOOBIE BROTHERS (ドゥービー・ブラザーズ)

B000002KINMinute by Minute
The Doobie Brothers
Wea Japan 1994-12-02

The Doobie Brothers [試聴]iTunes Music Store - The Doobie Brothers


 1975年に病気のために休養したTom Johnston(vo,g.トム・ジョンストン)の代役としてTHE DOOBIE BROTHERS(ドゥービー・ブラザーズ)に参加し、そのまま正式メンバーとして加入したMichael McDonald(vo,key.マイケル・マクドナルド)を中心としたポップ&ソウル路線で第二期黄金時代を築いた1978年発表のTHE DOOBIE BROTHERSの大ヒット作。(グラミー賞4部門獲得)


1. Here to Love You
2. What a Fool Believes
3. Minute by Minute
4. Dependin' on You
5. Don't Stop to Watch the Wheels
6. Open Your Eyes
7. Sweet Feelin'
8. Steamer Lane Breakdown [Instrumental]
9. You Never Change
10. How Do the Fools Survive?

Michael McDonald :vo,key.マイケル・マクドナルド
Patrick Simmons :g,vo.パトリック・シモンズ
Jeff Baxter :g.ジェフ・バクスター
Tiran Porter :b.タイラン・ポーター
John Heartman :dr.ジョン・ハートマン
Keith Knudsen :dr.キース・ヌードセン

 Tom Johnstonの豪快なヴォーカルを売り物にしていた初期THE DOOBIE BROTHERSに較べると明らかにMichael McDonald(vo,key.マイケル・マクドナルド)のヴォーカル・スタイル、そして音楽性は異なっており、本作『Munute By Minute(ミニット・バイ・ミニット)』ではMichael McDonaldのソフトで繊細、且つソウルフルな歌声を生かしたAORよりのロックが展開されています。Tom Johnston在籍時の初期THE DOOBIE BROTHERSに較べるとギター中心で楽曲を創り上げてきたそれまでのサウンドから一転して、キーボードとホーン・セクションが目立つアレンジのソフトなサウンドは発売当初はファンにとっても違和感のあるサウンドでもあり賛否両論を呼びますが、あの高度な音楽性を持つSTEELY DANのツアー・メンバーにも採用されていたことからも分かるようにMichael McDonaldは演奏能力、表現力だけでなく作曲能力、音楽性なども非常に高いものを持っており、アルバム自体の完成度もこれまでの作品に決して劣るものではなく、熟成期を迎えていたバンドの演奏とMichael McDonald主導による楽曲制作でTom Johnston脱退後のニュー・ドゥービーズの音楽を完成させた名盤です。
 また、確かにMichael McDonaldの加入によりサウンドが一転した、という風にも聴けますし、明らかにMichael McDonaldの楽曲といった部分もありますが、本作収録曲の基本的な根の部分は多彩な才能を持ったメンバーの集合体であるTHE DOOBIE BROTHERS(ドゥービー・ブラザーズ)が元々持っていた要素のひとつであり、Michael McDonaldの加入(及び同じくSTEELY DAN人脈のJeff Baxter/g.ジェフ・バクスター)によって、バンドが前面に押し出す部分が変化した、という風にも捉える事が出来るのではないかと思います。

 本来激しいロックン・ロールが好みで自らも歌いたいといういう願望を持っていたにも拘らず、自分の声質がロックに向かないことを認識してAOR寄りのソフトな音楽を追求していったMichael McDonaldが、THE DOOBIE BROTHERSというロック・バンドに参加して、バンドをグラミー受賞まで押し上げるという大きな役割を果たしたというのは面白くもあり、興味深いところでもあります。

 メロディー、サウンド共にMichael McDonald節全開の名曲"What a Fool Believes(ある愚か者の場合)"(バンドにとって2曲目の全米1位を獲得)、都会的なアレンジで透明感あふれるサウンドを聴かせるヒット曲"Minute by Minute"、Jeff Baxterによる素晴らしいアコースティック・ギター・ソロが聴きモノの"How Do the Fools Survive?"他収録。


■関連記事→ The Captain and Me/THE DOOBIE BROTHERS



B00005OOHCグレイテスト・ヒッツ
ドゥービー・ブラザーズ
ワーナーミュージック・ジャパン 2001-10-24

B00000JZAY1970-2000/Long Train Runnin'
The Doobie Brothers
Rhino 1999-09-28

B000002KINMinute by Minute
The Doobie Brothers
Wea Japan 1994-12-02

The Doobie Brothers [試聴]iTunes Music Store - The Doobie Brothers


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