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2010年05月27日

Tormato/YES (イエス)

B003A9FMV0トーマト
イエス
ワーナーミュージック・ジャパン 2010-05-26

 パンク・ロック、ニュー・ウェーブ、ディスコ・ブーム、AOR、テクノ等の新たな音楽の流行、そして既に後の産業ロックの芽すらも芽生え始めていた1970年代後半、3年ぶりの新作『Going for the One(究極)』(1977年)で、トップ・グループとしての貫禄と意地を見せたYES(イエス)が、その翌年に更に時代との融合を目指して制作した通算9作目(スタジオ録音盤)のアルバム『Tormato(トーマト)』(1978年発表)。
 すでにプログレッシブ・ロック・ブームも久しく、YESの様な大作主義は時代遅れとなり、パンク・ロックやコンパクトでキャッチーな楽曲がもてはやされる音楽シーンに合わせて、前作から見られた楽曲のコンパクト化を更に推し進めて、かなり聴きやすい作品として仕上げられたアルバムです。


1. Future Times/Rejoice
2. Don't Kill the Whale
3. Madrigal
4. Release, Release
5. Arriving UFO
6. Circus of Heaven
7. Onward
8. On the Silent Wings of Freedom

Jon Anderson - Vo.ジョン・アンダーソン
Chris Squire - B.クリス・スクワイア
Steve Howe - G.スティーブ・ハウ
Rick Wakeman - Key.リック・ウェイクマン
Alan White - Dr.アラン・ホワイト

 個人的には、この時期のアルバムとしては、名盤といわれる前作『Going for the One(究極)』より、様々なタイプの個性的な楽曲、YESの新たな可能性を模索して制作された楽曲の面白さ(成功しているかどうかは別として"Release, Release"はYESらしさを残しつつも新たな試みであり、"Arriving UFO"などは新型YESサウンドとして大きな可能性を秘めていた)、そして佳作揃いの上、コンパクトにまとめられた楽曲群の聴きやすさなどから、実は今では『Tormato』を聴く機会の方が多いのですが、アルバムの完成度としては作り込みが甘く、大作主義を捨て時代に迎合しようとしての試行錯誤の中で、メンバーの創作能力、及びモチベーションが著しく低下していることが感じられる作品です。
 オールド・ウェーブと言われながらも人気を維持し続けて、当時はセールス的には成果を残したものの、前作では成功していたセルフ・プロデュースも上手く機能せず、良いのだけれど何か足りない、という中途半端な印象を残す楽曲や、前作以上に楽曲アイディアの焼き直し的な印象を感じさせる部分もあり、これまで水準の高い作品を出し続けてきたYESのアルバムとしては、トータル的に少し寂しい内容であることは否めません。

 これぞYESというサウンドと実にYES的な展開を聴くことが出来る"Future Times/Rejoice"。Jon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)の趣味全開、制作段階でもバンドを強引に引っ張ったであろう"Circus of Heaven"。そしてなんと言っても、YESがこれまで大作主義的な楽曲で創り上げてきたスケール感のある音世界を上手く4分間のポップ・ソングに凝縮することに成功したChris Squire(B.クリス・スクワイア)作の名曲"Onward"。このあたりの楽曲はわりと良く出来ているのではないかと思うのですが、全体的には時代に後れてしまった焦燥感からくる混迷、創作能力とモチベーションの低下による散漫な演奏やアレンジ、セルフ・プロデュースによる主導権争いの激化や音作りの不味さ、全体的なバランスや録音の悪さなど、素性の良い楽曲揃いで可能性は秘めながらも未完、中途半端な完成度といった印象。特に"Arriving UFO"などは惜しい楽曲。UFOというYESが創ってきた音楽としては陳腐(このアルバム発表の前年1977年に映画『スターウォーズ』『未知との遭遇』公開)な題材ながら、この楽曲素材としてはYESの新たな可能性さえ感じさせる様な非常に良い物を持っており、きちんと作り込めばYESを代表する名曲のひとつに育つ素質が充分にあったのではないかと思われ、それを出来なかったバンドの状態を補う良いプロデューサーが付いてさえいれば、と返す返すも残念な楽曲です。そういう意味では佳作揃いの本作『Tormato』自体も、自己主張の強いメンバーに的確な意見が言える良いプロデューサーさえ付いていれば、各メンバーの自分勝手な演奏(音色の選び方からアレンジ面、各楽器のバランスやフレーズなど)で散漫になる事無く、内容的にももっと煮詰められて、少なくとも『Going for the One(究極)』を超える名盤に育つ可能性も充分あったのではないかという素材ではあります。
 また、プログレッシブ・ロック・ファンには時代に迎合したプログレ・ポップとでも言うような内容から一般的に評価が低いアルバムですが、大作主義期のYES、この時期のポップ面を前面に出したYES、と言うように分けて聴く事が出来るかどうか、またYESを聴く人のYESに求めている部分の違いによって評価が分かれるアルバムではないかとも思います。

 個人的には、散々否定的な事を書いてはいますが、(YESの名盤を聴き込んできたからこそ感じる)YESの水準としては作り込みが甘い部分や焼き直し感があるというだけで、流石に数々の名盤をモノにしてきたベテラン・バンドだけあって、それなりの作品にはまとめられており、決して嫌いなアルバムではありません。一般的にも評価され難い、と言うか無視されているに等しいアルバムですが、そういった当時の評価を鵜呑みにして未だに『Tormato』を聴いた事の無い人も、実際に聴いてみると意外に良いアルバムだと思える内容にはなっていると思いますので、機会があったら一度聴いてみることをお勧めします。また、70年代ロックではなく、後の世代、特に80年代のロックに馴染んでいる方、まだ70年代のYESのアルバムを聴いた事がない方などにとっては意外な名盤に聴こえるかもしれません。

 本作発表後のツアーを最後に(正確には次作製作中)、バンド(YES)での活動に限界を感じてソロ活動に光明を見出し始めていたバンドの顔(声)であるJon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)と、本来の居場所はここ(YES)なのに、ついついソロ活動への色気やJon Anderson & Steve Howe/G.スティーブ・ハウ)組との楽曲制作の主導権争いに嫌気が差してしまって、その都度出入りを繰り返すRick Wakeman(Key.リック・ウェイクマン)が再び脱退。YESはバンド存続の危機に陥ってしまいます。(最後のフレーズはこのアルバムの紹介で良く使われるフレーズなので変えようかとも思いましたが、使ってしまいました。笑)



B003A9FMV0トーマト
イエス
ワーナーミュージック・ジャパン 2010-05-26


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2010年05月24日

Concerto for Group and Orchestra/DEEP PURPLE (ディープ・パープル)

B000006Y3OConcerto for Group and Orchestra
Deep Purple & the Royal Philharmonic Orchestra
Tetragrammaton 1998-10-20

1. Hard Road (Wring That Neck)
2. Child in Time
3. First Movement: Moderato-Allegro
4. Second Movement: Andante
5. Third Movement: Vivace - Presto

Ritchie Blackmore :G (リッチー・ブラックモア)
Ian Gillan :Vo (イアン・ギラン)
Roger Glover :B (ロジャー・グローヴァー)
Jon Lord :Key (ジョン・ロード)
Ian Paice :Dr (イアン・ペイス)

 1969年Jon Lord(Key.ジョン・ロード)主導で行われたロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラとの共演コンサートを収録したライブ盤。
 Jon Lordの試みに他のメンバーが協力した程度のもので、DEEP PURPLE(ディープ・パープル)ファンといえども必聴というアルバムではなく、内容的にもJon Lordの試みが成功しているとはいえません。
 しかし、ロック・バンドとオーケストラの共演という話題性は充分。ヒット曲"Hush"はあるもののアメリカのマイナー・レーベル「テトラグラマトン」所属でプロモーションが弱く知名度が低かったDEEP PURPLEの名前を広く知らしめる、という意味では重要なアルバムだったかもしれません。

 このアルバム発表後、Jon Lord(Key)はクラシック的な要素をDEEP PURPLEに取り入れようとしますが、他のメンバー、特にハード・ロック志向を強めるRitchie Blackmore(G.リッチー・ブラックモア)と対立。結局次作をRitchie Blackmore主導で制作し、成功するかどうかで今後のバンドの方向性(Jon LordとRitchie Blackmoreの主導権争いの決着)を決める事になります。


■おまけ


B000006Y3OConcerto for Group and Orchestra
Deep Purple & the Royal Philharmonic Orchestra
Tetragrammaton 1998-10-20


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2010年05月20日

Yesterdays/YES (イエス)

B000002J22Yesterdays
Yes
Japanese Import 1994-09-19

 『Relayer』(1974年)発表後の長期に亘るツアー、また、その後の各メンバーのソロアルバムを1枚ずつ発表するという企画等の為、YES(イエス)本体の新作発売の空白期間を埋めるべく1975年に発売した、初期YES作品『Yes(イエス・ファースト・アルバム)』(1969年)、『Time and a Word(時間と言葉)』(1970年)から選曲されたベスト・アルバム『Yesterdays』。
 黄金期のSteve Howe(G.スティーブ・ハウ)、Rick Wakeman(Key.リック・ウェイクマン)在籍時の代表作『Fragile(こわれもの)』(1971年)、『Close to the Edge(危機)』(1972年)等を聴いてきた人が、初期YESに興味を持った際に手を出すには最適のアルバムです。


1. America
2. Looking Around
3. Time and a Word
4. Sweet Dreams
5. Then
6. Survival
7. Astral Traveller
8. Dear Father

Jon Anderson - Vo.ジョン・アンダーソン
Chris Squire - B.クリス・スクワイア
Bill Bruford - Dr.ビル・ブルフォード
Tony Kaye - Key.トニー・ケイ *Track.2-8
Peter Banks - G.ピーター・バンクス *Track.2-8

Steve Howe - G.スティーブ・ハウ *Track.1
Rick Wakeman - Key.リック・ウェイクマン *Track.1

 1曲目の"America"は、Simon and Garfunkel(サイモンとガーファンクル)のカヴァー曲で、1972年にSteve Howe(G.スティーブ・ハウ)、Rick Wakeman(Key.リック・ウェイクマン)が参加した、所謂黄金期のメンバーで録音されてシングルとして発表されていますが、シングル発売時は半分以下の長さにカットされており、フル・ヴァージョンはYESのアルバムとしては『Yesterdays』で初収録。(元々はアトランティック・レコードの企画物のアルバムに収録するために録音されていたようです。現在では各種ベスト・アルバム、『Fragile(こわれもの)』のボーナス・トラックなどとして収録されているため、『Yesterdys』でしか聴けない稀少曲という訳ではなくなっています。)
 2曲目以降はYES全盛期前夜のTony Kaye(Key.トニー・ケイ)、Peter Banks(G.ピーター・バンクス)在籍時のメンバーによる録音作『Yes(イエス・ファースト・アルバム)』から"Looking Around"、"Survival"の2曲、『Time and a Word(時間と言葉)』から"Time and a Word"、"Sweet Dreams"、"Then"、"Astral Traveller"の4曲、それに加えてシングルB面曲として発表されていたアルバム未収録の"Dear Father"が収録されています。("Dear Father"は要らなかったかな。他にも良い曲があるのだから、もっと他の曲を入れて欲しかった。)

 YESというと代表作『Fragile(こわれもの)』、『Close to the Edge(危機)』から『Going for the One(究極)』(1977年)あたりまでのアルバムが注目されがちですが、初期YESの時点で全盛期の音楽に繋がる、優れたメロディー・センス、楽曲へのアイディア、高度の演奏能力が既に備わっていた事が良く分かるアルバムです。また、よりシンフォニックな方向へ進んでいこうとするバンドと合わなくなって脱退を余儀なくされるTony Kaye(Key.トニー・ケイ)が、この時期のアート・ロック、サイケデリックでポップな音楽性には、これ以上無いほどフィットしていて、尚且つ中心メンバーとしてバンドを牽引しつつ、当時のバンドの楽曲において、印象的で重要なフレーズを幾つも残していたことが分かるのも面白いところ。
 また、はっきり言って、YESがまだ売れていない頃のアルバムからセレクトされたベスト盤ですが、まだ聴いたことの無いYESファンや初期YESに興味がもてない人も"Looking Around"、"Time and a Word"、"Sweet Dreams"あたりは是非聴いておいて欲しい楽曲。個人的な意見としては(大袈裟ですが・笑)、このページを見てくれている人は多分YESが好き、もしくは興味がある人だと思うのですが、この3曲は聴いておかないと貴方の音楽ライフにおいて大きな損失だと思います。

 このベスト盤については、1st、2ndが好きな人にとっては収録曲の選択に不満が残る部分もあるかもしれません。しかし、楽曲を発表年順、アルバム収録順に配置せず、ベスト・アルバムとはいえ流れをきちんと考慮して並べられた各曲の配置は秀逸。また、現在はCD1枚に続けて収録されていますが、A面にはポップな曲調の楽曲、B面には、後のYESサウンドへの習作ともいえる、実験的、且つ緊張感のある意欲作が収められており、気分によってA面のみ、またはB面、という風に聴き分けられる様にもなっていました。
 但、B面に収録されている楽曲に関しては、(1st、2ndを通して言えることですが)まだバンドとしての表現方法が確立しておらず、良いアイディアを持ちながらも試行錯誤期。表現したいことは沢山あるんだけど形に出来ない、というようなもどかしさを感じる部分もあり、YES全盛期のような音を期待して聴くと、トータル的にはちょっと辛いかな、という印象はあります。

 個人的には、このアルバムを購入してブリティッシュ・ロック然とした音を気に入って、結局は1st、2nd共に揃えてしまったものの、『Yesterdays』の楽曲配置に馴染んでしまって(特に購入当初はA面ばかり聴いていました)、今では初期YESを聴きたくなった時に手が伸びるのは殆どこのアルバム、という事になってしまいました。
 初期YESの楽曲で話題に上る事の多い"Every Little Thing"(The Beatles)などのカヴァー曲は収録されていませんし、他にも良い曲がありますので、このベスト・アルバムが気に入ったら次は『Yes(イエス・ファースト・アルバム)』、『Time and a Word(時間と言葉)』を聴いてみるのも良いかも知れません。


B00007KWI9Yes
Yes
Rhino/Elektra 2003-01-27

1. Beyond and Before
2. I See You
3. Yesterday and Today
4. Looking Around
5. Harold Land
6. Every Little Thing
7. Sweetness
8. Survival


B00007KWHOTime and a Word
Yes
Elektra/Rhino 2003-01-20

1. No Opportunity Necessary, No Experience Needed
2. Then
3. Everydays
4. Sweet Dreams
5. Prophet
6. Clear Days
7. Astral Traveller
8. Time and a Word


B000002J22Yesterdays
Yes
Japanese Import 1994-09-19


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2010年05月19日

Soultrane/JOHN COLTRANE (ジョン・コルトレーン)

SoultraneSoultrane
John Coltrane
Universal Japan 2006-06-13

1. Good Bait
2. I Want To Talk About You
3. You Say You Care
4. Theme For Ernie
5. Russian Lullaby

 ハード・バップ期のJohn Coltrane(ts.ジョン・コルトレーン)の『Blue Train』(1957年)と並ぶ名盤、『Soultrane』(1958年)。
 空間を音で埋めつくような、John Coltraneの代名詞"シーツ・オブ・サウンド"をはじめ、John Coltraneのテナー・サックスの特徴が詰まったアルバムであり、その後のJohn Coltraneの軌跡を追う上でも基本となるアルバムです。『Blue Train』の3管での演奏から、ここではThe Miles Davis Quintetマイルス・デイヴィス・クインテット)での盟友、Red Garland(p.レッド・ガーランド)、Paul Chambers(b.ポール・チェンバース)のRed Garland Trioを迎えての1ホーンでの演奏(ドラムはArt Taylor/アート・テイラー)。3管には3管の良さと魅力がありますが、本作での1ホーンでの演奏もJohn Coltraneの特徴的なテナー・サックスの音、アドリブの構築の仕方など、遂に確立されたJohn Coltraneの音楽性が堪能できるという魅力があります。個人的には、昔は『Blue Train』の方が好きだったのですが、今は、より落ち着いた演奏が聴くことが出来る『Soultrane』の方が好み。
(1958年2月7日録音)



SoultraneSoultrane
John Coltrane
Universal Japan 2006-06-13


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2010年05月18日

Blue Train/JOHN COLTRANE (ジョン・コルトレーン)

Blue TrainBlue Train
John Coltrane
Toshiba EMI 2003-08-05

John Coltrane [試聴]iTunes Music Store - John Coltrane


1. Blue Train
2. Moment's Notice
3. Locomotion
4. I'm Old Fashioned
5. Lazy Bird

 John Coltrane(ts.ジョン・コルトレーン)が1957年にBLUE NOTE(ブルー・ノート)で唯一録音したハード・バップ期の名盤。
 John Coltraneは1955年に参加したThe Miles Davis Quintetマイルス・デイヴィス・クインテット)で鍛え上げられて自らのスタイルを掴み、グループ休止中の1957年にはPrestige(プレスティッジ)と契約してリーダー作を発表。同年には連日Thelonious Monk(p.セロニアス・モンク)のセッションに参加して音楽理論を修行し、インスピレーションも刺激され、いよいよ才能開花という時期に来ていました。
 徐々に頭角を現してきたJohn Coltraneのリーダー作を自レーベルに残したいと考えた生粋のジャズ・ファンであるBLUE NOTEのオーナー、Alfred Lion(アルフレッド・ライオン)の懇願を聞き入れたJohn Coltraneが当時の所属レーベル、Prestigeと相談して実現したレコーディングであり、その為BLUE NOTE側からはメンバー、収録楽曲など、全てJohn Coltraneに任せるという好条件を提示され、John Coltraneも現時点で出来うる限りの全てを注ぎ込み、暖めていた自作曲も惜しげもなく披露。収録された楽曲のレベルの高さにより、John Coltraneはプレイヤーとしてだけでなく、作曲家としても高い評価を得るようになります。
 参加メンバーはリズム・セクションにThe Miles Davis Quintetで気心の知れたPaul Chambers(b.ポール・チェンバース)、Philly Joe Jones(ds.フィリー・ジョー・ジョーンズ)。幾度かの共演時の演奏で注目していたKenny Drew(p.ケニー・ドリュー)、Curtis Fuller(tb.カーティス・フラー)。そして、Art Blakey & The Jazz Messengersでの演奏で名を馳せ、後にBULE NOTEの看板プレイヤーとなるLee Morgan(tp.リー・モーガン)を加えた3管編成のセクステット(6人編成)。本格的なJohn Coltrane時代を築く1960年代の求道的な重たい演奏ではなく、自分のスタイルを確立したJohn Coltraneの自信に満ちた伸び伸びとした演奏でハード・バップ・ジャズを聴かせてくれます。
 個人的なイチオシは"Moment's Notice"。まだジャズ初心者だった頃、気に入って頻繁に聴いていた、私をジャズの世界に導いてくれた名曲のひとつです。
(1957年9月15日録音)



Blue TrainBlue Train
John Coltrane
Toshiba EMI 2003-08-05


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2010年05月17日

Moanin'/ART BLAKEY & THE JAZZ MESSENGERS (アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ)

B00000I8UFMoanin'
Art Blakey & the Jazz Messengers
Parlophone Records 1999-03-17

 Art Blakey(ds.アート・ブレイキー)の代表曲"Moanin'"を含む、Art Blakey & The Jazz Messengers(アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ)の傑作アルバム。1958年に発表され、日本でも大ヒットしてファンキー・ブームを巻き起こしたファンキー・ジャズの名盤です。


1. Moanin'
2. Are You Real
3. Along Came Betty
4. Drum Thunder Suite
5. Blues March
6. Come Rain or Come Shine

Lee Morgan -trumpet (リー・モーガン)
Benny Golson -tennor sax (ベニー・ゴルソン)
Bobby Timmons -piano (ボビー・ティモンズ)
Jymie Merritt -bass (ジミー・メリット)
Art Blakey -drums (アート・ブレイキー)

 あまりにも有名なイントロから始まる、ジャズの世界でも1,2を争う有名曲"Moanin'"(Bobby Timmons/ボビー・ティモンズ作)。それに続くBenny Golson(ts.ベニー・ゴルソン)作曲の4曲。豪華絢爛なテーマからLee Morgan(tp.リー・モーガン)以下、各メンバーが叙情感豊かなソロで聴かせる"Are You Real"、Benny Golson色全開のクールな"Along Came Betty"、Art Blakeyのパワフルなドラム・ソロを挟みながら、幾つかのモチーフを繋げていく前衛的な構成を持った組曲"Drum Thunder Suite"、Art Blakeyのレパートリーの中では"Moanin'"に次いで有名な行進曲のブレイキー風ジャズ版アレンジ"Blues March"。実はこのBenny Golson作の4曲が本作を名盤たらしめているといっても過言ではない名曲、名演揃い。そしてラストが、これまでの熱い演奏から少しリラックスした演奏でクール・ダウン効果抜群のスタンダード・ナンバー"Come Rain or Come Shine"。"Moanin'"だけが全てのアルバムではなく、多くの聴き所、名曲を収録したハード・バップ・ファン必聴のアルバムの1枚です。
 個人的には、ヒット曲"Moanin'"、"Blues March"ではなく、2曲目の"Are You Real"が本作のベスト・トラック。



B00000I8UFMoanin'
Art Blakey & the Jazz Messengers
Parlophone Records 1999-03-17


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A Night at Birdland, Vol.1/ART BLAKEY QUINTET (アート・ブレイキー)

B00005MIZ8A Night at Birdland, Vol.1
Art Blakey Quintet
EMI/Blue Note 2001-07-03

Art Blakey - A Night At Birdland, Vol.1 [試聴]iTunes Music Store - A Night At Birdland, Vol.1


 ハード・バップ創世記にMiles Davis(tp.マイルス・デイヴィス)を煽ったと言っても過言では無い素晴らしい演奏を聴かせたArt Blakey(Dr.アート・ブレイキー)が、若きトランペットの新星Clifford Brown(tp.クリフォード・ブラウン)、ピアノのHorace Silver(p.ホレス・シルヴァー)、アルト・サックスのLou Donaldson(as.ルー・ドナルドソン)等を率いて1954年2月21日にジャズ・クラブ 「バードランド」で行ったライブを収録した、ホットでエキサイティングなジャズの楽しさが詰め込まれたハード・バップ誕生を高らかに告げる名盤『A Night at Birdland, Vol.1(バードランドの夜 Vol.1)』。


1. Announcement by Pee Wee Marquette
2. Split Kick
3. Once in a While
4. Quicksilver
5. Night in Tunisia
6. Mayreh

Clifford Brown -trumpet (クリフォード・ブラウン)
Lou Donaldson -alt sax (ルー・ドナルドソン)
Horace Silver -piano (ホレス・シルヴァー)
Curly Russell -bass (カーリー・ラッセル)
Art Blakey -drums (アート・ブレイキー)

 Miles Davisは『Dig』(1951年)以降、徐々にクールでソフトなハード・バップ・スタイルへと向かいますが、『Dig』で聴かせたホットなハード・バップを極めたのがこのArt Blakey。強烈なシンバル・ワーク、スネアを豪快に連打する通称"ナイアガラ瀑布"(ばくふ=滝)と呼ばれた十八番のロール奏法、Art Blakeyのファンキーなドラムが快調に飛ばしてバンドを牽引する、躍動感溢れる演奏が満載。ジャズを聴きいてみたいというジャズ初心者に私が一番に勧めるのがこのアルバムです。

Clifford Brown Charlie Parker(as.チャーリー・パーカー)を驚愕させ、トランペッターとしての実力はMiles Davis(tp.マイルス・デイヴィス)を凌ぐとまで言われた、夭折した天才Clifford Brown(本作発表の2年後に交通事故の為、25歳の若さで死去。)のメロディーを美しく歌い上げるような艶やかな音色とホットで流麗なアドリブは必聴。また、実力はあるものの、この後の活動が地味で目立たなかった為、今日では評価されることの少ないLou Donaldsonのサックスもこの日は絶好調。天才Clifford Brownと互角の真っ向勝負で、Charles Parkerが乗り移ったかのような素晴らしい演奏を聴くことが出来ます。
 また、『A Night at Birdland, Vol.1』と共にハード・バップの人気を決定付けたMiles Davisの『Walkin'』(1954年)の2枚のアルバム両方に参加して、特に『A Night at Birdland, Vol.1』では5曲中3曲("Split Kick"、"Quicksilver"、"Mayreh")を提供しているHorace Silver(p.ホレス・シルヴァー)の演奏にも注目。ハード・バップ誕生においてHorace Silverの果した役割が非常に大きかったことが分かります。
(1954年2月21日収録)

B00005MIZ9A Night at Birdland, Vol. 2
Harry Allen
Toshiba EMI 2001-07-03


B00005MIZ8A Night at Birdland, Vol.1
Art Blakey Quintet
EMI/Blue Note 2001-07-03


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2010年05月15日

Going for the One/YES (イエス)

B00007LTICGoing for the One
Yes
Rhino/Elektra 2003-08-25

 プログレッシブ・ロック・ブームの衰退期にYES(イエス)が新境地を開くべくPatrick Moraz(Key.パトリック・モラーツ)を迎えて制作したジャズ・ロック、フュージョン志向の名盤『Relayer(リレイヤー)』(1974年)。それから3年、時代はパンク・ロック、ディスコ・ブームが吹き荒れ、70年代前半に活躍した大物ロック・バンドは既にオールド・ウェーブと呼ばれて人気凋落の一途を辿る中でYESが発表した『Going for the One(究極)』(1977年)。
 Rick Wakeman(Key.リック・ウェイクマン/当初はゲスト・ミュージシャン扱いでレコーディングに参加)が復帰して制作された本作は、時代の流れに合わせてか、『1st』から『The Yes Album(サード・アルバム)』の頃に原点回帰したかのような比較的コンパクトにまとめられた楽曲で構成されており、それまでの大作主義的作品の魅力を5分前後に凝縮することにもある程度成功している為、1曲ごとの密度は非常に高く、Jon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)が「YESの最高傑作」と豪語する大作主義の名残"Awaken"など良作揃い。『Close to the Edge(危機)』(1972年)、『Relayer』に次いでYESの代表作として挙げる人の多いアルバムです。


1. Going for the One
2. Turn of the Century
3. Parallels
4. Wonderous Stories
5. Awaken

Jon Anderson - Vo.ジョン・アンダーソン
Chris Squire - B.クリス・スクワイア
Steve Howe - G.スティーブ・ハウ
Rick Wakeman - Key.リック・ウェイクマン
Alan White - Dr.アラン・ホワイト

 人気絶頂期のYES(イエス)というテクニカル集団には、どんな難曲だとしてもアイ・コンタクトで全員が一斉に演奏を始めると、ずれる事無くピッタリ合ってる(実際にはそんなことは無いでしょうけど)、と思わせる様な凄みがあったのですが、本作はAlan White(Dr.アラン・ホワイト)によるカウントに導かれて、YESでは珍しいシンプルなロックン・ロール・スタイルのリラックスしたムードで演奏される"Going for the One"でスタート。イントロ部分こそ意表をつくYES版ロックン・ロールですが、Jon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)の歌声が聞こえ始めたあとは、何処を取っても上質なYESサウンド。重厚なコーラスとYES独特のポップ感覚で上手くまとめられています。続く、Steve Howe/G.スティーブ・ハウ)主導で制作された、実にYESらしい作品"Turn of the Century"、Chris Squire(B.クリス・スクワイア)作の80年代に流行した、所謂「3分間プログレ」への下地が充分に出来上がっていたことを窺わせる"Parallels"、シングルヒットしたJon Andersonワールド全開の"Wonderous Stories"、そしてラストを飾るYESならではの大作"Awaken"(10分過ぎ辺りからの展開、演奏はこれまでのイエスの楽曲の中でも上位に入る名演)。全体的に、YESを代表する名曲とまでは言えないものの、演奏はもちろん、メロディー・ラインも良く、YESの美味しい部分のみでまとめたかの様な内容で、かなりの良作に仕上がっています。
 個人的な感想としては、とにかく手堅くまとめたアルバム、といった感じでしょうか。また、前作から3年というアルバム発売間隔はリスナーを以前、以後に分けられる充分なスパンだと思いますが、かつての名盤の数々を聴き込んできたファンにとっては、物足りない、手堅すぎて面白味が無い、といった感があるものの、『Going for the One(究極)』から聴き始めた人にとっては、かなりの傑作であると映る可能性は高く(実際、最高傑作に本作を上げる人も多い)、そういった意味では、YESを聴きたいという人が最初に手にするには最適のアルバムでもあり、個人的にはロック好きへのオススメは『The Yes Aibum(サード・アルバム)』、その他の人には『Going for the One』と決めていました。(まぁ、今では「イエス聴きたいんだけど、何が良い?」なんて聞いてくる人、居なくなりましたけどね。苦笑)

 そういえば、これまでYESの記事を幾つか書いてきたのに、良く考えると1度も触れていなかった、『Fragile(こわれもの)』から続いていたRoger Dean(ロジャー・ディーン)によるジャケット・デザインが本作からイギリスのデザイン集団Hipgnosis(ヒプノシス)に変わり、イエスらしい幻想的なジャケットから、現代的、且つ抽象的なデザインに変わってしまいました。これは個人的には非常に残念。やはりYESのアルバムは独特な世界観のあるRoger Deanじゃないと。YESを聴きながらジャケットを眺めるという楽しみが減ってしまいました。



B00007LTICGoing for the One
Yes
Rhino/Elektra 2003-08-25


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2010年05月09日

Relayer/YES (イエス)

B00007LTIBRelayer
Yes
Warner Bros. 2003-08-25

 「YES(イエス)であって、YESではない。」としか言い様の無い、これまでのYESからは想像の出来ない、プログレッシブ・ロックというよりはジャズ・ロック、フュージョン系の刺激的なサウンドを聴かせる突然変異的な異色作『Relayer(リレイヤー)』(1974年発表)。しかし、その音や完成度は非常に高く、後年徐々に評価を高め『Close to the Edge(危機)』(1972年)と並んで最高傑作に挙げる人も多い名盤です。
 本作では脱退したRick Wakeman(Key.リック・ウェイクマン)に替わり、本格的な音楽教育を受けて豊富な音楽知識を持ち、尚且つ、その素養を充分に生かすことの出来るテクニックとセンス、オリジナリティーを併せ持ったスイス人のキーボード・プレイヤーPatrick Moraz(Key.パトリック・モラーツ)が加入。前作『Tales from Topographic Oceans(海洋地形学の物語)』(1973年)で、ある意味手馴れた感じ、悪く言えばマンネリ化しつつあったバンドのサウンドに大きな刺激を与えたアルバムです。


1. The Gates of Delirium
2. Sound Chaser
3. To Be Over

Jon Anderson - Vo.ジョン・アンダーソン
Chris Squire - B.クリス・スクワイア
Steve Howe - G.スティーブ・ハウ
Alan White - Dr.アラン・ホワイト
Patrick Moraz - Key.パトリック・モラーツ

 Chick Corea(チック・コリア)のReturn to Forever(リターン・トゥー・フォーエヴァー)かと見紛うようなジャズ・ロック系のサウンドとYES(イエス)ならではのプログレッシブで華やかなサウンドが融合したアルバム。前作での冗長、長くて退屈などという悪評からの反省から、本作では『Close to the Edge』同様、A面1曲、B面2曲という構成になっています。また、前作までの幻想的なテーマから「戦争と平和」という現実的なテーマに変化しているのも大きな特徴です。

 Jon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)は相変わらず、といった感がありますが、このYES(イエス)の新しいサウンドに一番刺激を受けたのは、やはりSteve Howe(G.スティーブ・ハウ)。バンドの救世主、Patrick Moraz(Key.パトリック・モラーツ)にも少なくない活躍の場を与えつつも、全篇弾きまくっており、多彩なプレイ・スタイルを聴かせてくれています。スティール・ギターの使い方も本作で極まった観あり。尚、本作でSteve Howeのギターの音が妙にペキペキ、パキパキしているのは、メインのギターを愛用のGibson ES-175からFenderのTelecaster(テレキャスター)に替えている為。この変更は、Patrick Morazの煌びやかなサウンドへの対抗上、及び本作での音楽性に合わせて、明るくメリハリのある音色を持つFenderシングル・コイル・ピックアップ搭載ギターを選んだとも言われますが、ロック・ギタリストが必ず手にするStratocaster(ストラトキャスター)ではなく、Telecasterを選択するところが、なんとなくSteve Howeらしい感じがします。
 前任者のBill Bruford(Dr.ビル・ブルフォード)と比較され、これまで分の悪かったAlan White(Dr.アラン・ホワイト)もスタジオ盤2作目とあってバンドに良く馴染み、本作ではいよいよ本領発揮。本作での音楽性に合わせて比較的タイトなベースを弾くChris Squire(B.クリス・スクワイア)との素晴らしいコンビネーションを聴かせてくれます。

 YESの大作主義と御馴染みのイエス・サウンドをPatrick Morazがバンドに持ち込んだジャズ、ラテンなどの要素と煌びやかなシンセサイザー、ローズ・ピアノのサウンドでジャズ・ロック風味に仕上げた"The Gates of Delirium"、初めてこのアルバムを聴いた人は、あまりのインパクトに他の2曲の印象が薄くなってしまうであろう、Patrick Morazの影響を受け、正にジャズ・ロック・バンドと化したYESがハイ・テンションでハードに繰り広げる狂熱のナンバー"Sound Chaser"、前曲での熱い演奏をゆったりとクールダウンさせる隠れた名曲"To Be Over"収録。

 残念ながらPatrick Morazは本作のみでバンドを脱退。Rick Wakeman脱退時と同様、YES在籍中に発表したソロ・アルバム『The Story of I
』の好評と、バンド内の確執が原因といわれています。本作では有効に作用したPatrick Morazの音楽的素養が、バンド内で徐々に傲慢化し、特にJon Andersonとの不仲に繋がったといわれています。どちらが悪い、などとは判断の仕様がないのですが、この確執はかなり根深い様で、1990年代に集合、離散、再編成を繰り返してきたYESにあって、唯一呼んで貰えなかった、ということでも分かります。(Patrick Morazが既にYESに対して興味が無かっただけかもしれませんが。)
 面白いのは、脱退後からYESの音楽に酷評を続けていたBill Brufordが本作を絶賛し、後にPatrick Morazとのユニットを結成して『Music for Piano and Drums
』(1983年)を発表していること。流石プログレ界は人事異動が忙しいですね。


B000001F4EPrivate Collection
Jon & Vangelis
Universal International 1990-10-25

 Patrick Moraz加入前、新たなキーボード・プレイヤー候補に挙がっていたVangelis(ヴァンゲリス)とJon Anderson(ジョン・アンダーソン)が組んだユニットJon and Vangelis(ジョン・アンド・ヴァンゲリス)が1983年に発表した代表作。


B0000072BDThe Story of I
Patrick Moraz
Virgin 1998-06-30


B00007LTIBRelayer
Yes
Warner Bros. 2003-08-25


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2010年05月05日

Tales from Topographic Oceans/YES (イエス)

B00007LTIATales from Topographic Oceans
Yes
Rhino/Elektra 2003-08-25

 ロック史上に輝く奇跡のアルバム『Close to the Edge(危機)』(1972年)でバンドとしてひとつの大きな到達点に達したYES(イエス)が、それまでの活動を総括したかのようなライブ・アルバム『Yessongs』(1973年)を経て、新たなYesの音世界の構築を目指して制作した通算7作目のアルバム『Tales from Topographic Oceans(海洋地形学の物語)』(1973年発表)。
 ヒンドゥー教の経典「あるヨギの自叙伝」からインスピレーションを得たJon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)がSteve Howe(G.スティーブ・ハウ)と共にバンドを牽引しながら創り上げた本作は『Close to the Edge』から更に大作主義を推し進めたLP2枚組、各面1曲全4曲という超大作。YESのテクニカルな演奏、重厚なアレンジ、ポップ感溢れるメロディーラインなど、イエスの音楽の美味しい部分が合計約80分間の中に満載された至福のアルバムです。


1. The Revealing Science Of God/Dance Of The Dawn
2. The Remembering/High The Memory
3. The Ancient/Giants Under The Sun
4. Ritual/Nous Sommes Du Soleil

Jon Anderson - Vo.ジョン・アンダーソン
Chris Squire - B.クリス・スクワイア
Steve Howe - G.スティーブ・ハウ
Rick Wakeman - Key.リック・ウェイクマン
Alan White - Dr.アラン・ホワイト

 それまでの経験で得たノウハウとアイディア、そして豊富なメロディのストックでYES(イエス)の集大成的作品と創り上げようとしたJon Anderson(Vo.ジョン・アンダーソン)とSteve Howe(G.スティーブ・ハウ)の野心作。
 個人的には(一番では無いにしても)結構気に入っている本作ですが、正直に言うとお勉強が必要なアルバムです。まず、一般的に代表作と言われる『Close to the Edge』を気に入った人がすぐ次に聴くアルバムではありませんし、ましてや初めてYES(イエス)やプログレッシブ・ロックを聴く人が購入すべきアルバムでもありません。『Close to the Edge(危機)』(1972年)や『The Yes Album(サード・アルバム)』(1971年)、『Fragile(こわれもの)』(1972年)を聴きつくした後に購入して、尚且つ、ある程度聴き込んで始めてその魅力が体に染み込んでくるアルバムです。
(ちょっと大袈裟ですね。しかし、『Close to the Edge - 危機/1972年』と『Relayer - リレイヤー/1974年』に挟まれているのはアルバムの印象や評価的にキツイところ。)

 全体的な印象としては、『Close to the Edge』に較べるとその制作のコンセプトの違いから、『Close to the Edge』での緊張感のある演奏とは一転した、ゆったりとしたスケール感のある演奏を繰り広げています。その為『Close to the Edge』に慣れた耳では、悪く言えば冗長、緩い演奏とも言え、この辺が賛否両論、失敗作などといわれる所以でもありますが、その反面、Yesの良い部分も悪い部分も含めた集大成的な内容でもあり、否定的な意見が多い中で好きなアルバムのひとつにあげる人も意外に多いアルバムでもあります。
 各曲の印象としては、1曲目の"The Revealing Science Of God/Dance Of The Dawn"、4曲目の"Ritual/Nous Sommes Du Soleil"は楽曲、構成ともに割と良く出来ているのですが、2曲目"The Remembering/High The Memory"と3曲目の"The Ancient/Giants Under The Sun"に関して言えば、素材も良く、楽曲パーツも優れたものが多く収められているものの、冗長とも感じられる部分も多々あり、10分程度に凝縮して、アルバム全体をトータル60分ぐらいにまとめておけばアルバム全体の印象もかなり違ったものになったと思われ、アルバム2枚組、各面1曲合計4曲ということにバンド(というかJon Anderson/Vo.ジョン・アンダーソンとSteve Howe/G.スティーブ・ハウ)が拘り過ぎた弊害であり、非常に惜しい部分ではあります。まぁ、2曲目"The Remembering/High The Memory"、3曲目"The Ancient/Giants Under The Sun"に関してはYES上級者(?)向け、という事にしておきましょう。

 一般的な評価は低いものの、個人的には冒頭にも書いたように結構好きなアルバム。YESを聴きたくなった時にその時の気分で選ぶ選択肢の中によく入ってくる、(決して一番好きなアルバムにはならないものの)BGMに良し、ヒーリング・ミュージック的な聴き方も良し、聴き込めば充実した高度な演奏で楽しめる、楽曲も悪くない、という便利なアルバムです。例えば(例えは悪いのですが)寝る前に『Close to the Edge』を聴き始めると聴き込んでしまって目が冴えてしまうのですが、『Tales from Topographic Oceans』の方は気持ち良く寝させてくれるという(しかし"Ritual/Nous Sommes Du Soleil"のAlan White/Dr.アラン・ホワイトのドラム・ソロで目が覚めてしまうことも。楽曲のアクセントにはなっているものの、良い出来とも思えず、この曲ではこの部分が余分。)、YESのアルバムの中では特に気軽に聴けるアルバムです。

 Jon AndersonとSteve Howe主導の楽曲制作、難解な世界観と極端な大作主義に嫌気が差したRick Wakeman(Key.リック・ウェイクマン)が本作を最後に脱退してしまいますが、本作制作中も、(最低限のやるべきことはやっていますが)本来キーボードが埋めるべきパートをギターが代用しているようなところもあり、Rick Wakemanのヤル気の無さが垣間見られ(ソロ・アルバム用に美味しいフレーズを出し惜しみしていた、という説もあり)、『Close to the Edge』に較べると、かなり影の薄い存在になっています。Bill Bruford(Dr.ビル・ブラッフォード)の脱退、Rick Wakemanの消極的なアルバム制作への参加などにより、鬩ぎあう楽器が減ったことにより緊張感がなくなった事が(反面Steve Howeは伸び伸びとギターを弾きまくっていて、なかなか好印象)、聴きやすいアルバムに仕上がった要因のひとつではないかとも思います。(しかし、そこが聴く人の好みによっては本作の評価が低い原因にもなります。)


B00007LTI9Close to the Edge
Yes
WEA Japan 2003-08-25

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2010年05月04日

Close to the Edge/YES (イエス)

B00007LTI9Close to the Edge
Yes
WEA Japan 2003-08-25

 YES(イエス)が創り上げたロック史上に輝く歴史的名盤『Close to the Edge(危機)』。LPでA面1曲、B面2曲という大作志向ながら、圧倒的な完成度と展開で最後まで聴く者を飽きさせず、緊張感を保ちながら一気に聴かせてしまうアルバムです。プログレッシブ・ロックというジャンルを超えた、全てのロック・ファン必聴のYESの最高傑作。(1972年発表)


1. Close To The Edge
  - (i)The Solid Time Of Change(ii)Total Mass Retain
    (iii)I Get Up, I Get Down(iv)Seasons Of A Man
2. And You And I
  - (i)Cord Of Life(ii)Eclipse(iii)The Preacher, The Teacher
    (iv)Apocalypse
3. Siberian Khatru

Jon Anderson - Vo.ジョン・アンダーソン
Chris Squire - B.クリス・スクワイア
Bill Bruford - Dr.ビル・ブルフォード
Steve Howe - G.スティーブ・ハウ
Rick Wakeman - Key.リック・ウェイクマン

 捨て曲なし。と言っても全3曲ですが(笑)、楽曲の出来、演奏、構成など、どこを取っても素晴らしい。同じメンバーでどれだけ頑張っても、2度と同じレベルのものを作ることは不可能であろう奇跡の1枚です。(実際、これを超えるアルバムは作れなかったわけですが。しかもBill Bruford/Dr.ビル・ブルフォードは本作を最後に脱退。)
 個人的にこのアルバムの凄さを語るとすれば、なんと言っても各曲の長さが納得できるというところ(特にタイトル曲の"Close to the Edge"は19分弱。)。無駄な部分が一切無く、この楽曲を表現するにはこれ以上長くても短くてもいけない、という完璧な収録時間。長い演奏時間を決して冗長になる事無く、アルバムの最後まで高いクオリティと緊張感を持続させて聴く者を全く退屈させない、ということを見事にやり遂げてしまった驚異のアルバムです。

 目眩く展開する楽曲構成とメリハリのある高度な演奏、そして美しいメロディ・ラインと華麗なコーラス・ワークで聴く者を圧倒するタイトル曲"Close To The Edge"、ドラマティックな演奏で聴かせる"And You And I"、YESならではのダイナミックさと緻密な構成をもった躍動感溢れるロック・ナンバー"Siberian Khatru"収録。最初は曲の長さや凝った曲構成に馴染めなくとも、アルバムの全貌が掴めた途端に一生もののアルバムになる筈です。



B00007KWHNThe Yes Album
Yes
Rhino/Elektra 2003-01-27

B00007KWHPFragile
Yes
Rhino 2003-02-03

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